コチャラコタ発言を巡るある騒動

今回のFOMCのコチャラコタの態度を巡り、Stephen Williamsonのブログエントリのコメント欄で、WilliamsonとEconomist's ViewのMark Thomaが熱い闘いを繰り広げた。


このエントリでWilliamsonはコチャラコタを批判したクルーグマンとThomaを逆に批判したのだが、それにThomaがキレて感情的ともいえる書き込みを行った。コメントの冒頭からして「Ah, Kocherlakota's self-appointed defender is at it again.(あれまあ、コチャラコタの擁護者をもって自らを任ずる人がまた書いているよ。)」という文言で始まっており、最後は平素からのWilliamsonのクルーグマン批判を嫉妬に基づくものと決め付けて強烈に揶揄している。


このThomaの攻撃に対しWilliamsonはむしろ落ち着いて対応しており、Thomaのコメントで重要な論点が明確になった、それに集中しよう、と大人の回答を返している。彼によると、その論点とは以下の通り。

  • ある種のテイラールールでは、現時点のインフレ率と現時点のGDPギャップを入力にしている。コチャラコタが言っているのは、失業率をGDPギャップの尺度と考えた場合、その2つの変数が共に、昨年の11月よりも今現在の方が改善している、ということである。
  • 即ち、昨年の11月時点で2年間の時間軸政策が必要無かったのに、今現在は必要になった、というのが整合的でない、というのがコチャラコタの指摘である。
  • それに対しThomaは、現時点のデータではなく将来予測に基づいて金融政策が決定されており、その将来予測が当時よりも現在の方が悪化した、と主張しているようだ。その将来予測が重要な理由、もしくは別の種のテイラールールを考えているということであればそのテイラールールについて、是非とも話を聞かせてほしい。


ちなみにここで現時点との比較対象になっている昨年11月という時点については、Thomaはコチャラコタが最近の失業率のピーク時をわざと拾ってきた、と批判しているが、別のコメンターが、それはQE2の声明があった時であり、直近の実質的な金融政策があった時だ、と指摘している。


上記のWilliamsonのコメントに対するThomaの返答は無かったが、コメント欄ではその後以下のような疑問がWilliamsonに投げ掛けられている。

  • コチャラコタは失業率は改善したと言っているが、それは職探しを諦めた人が労働市場から退出したためではないか。
  • コチャラコタが批判したのは時間軸政策であり、それはテイラールールとは直接的な関係は無い。