デロングが、今回の大不況について考察したエッセイの中で、オバマ政権の政策の中で景気対策が優先順位を落としていった*1理由を推測し、以下の5つを挙げている。
- 労働組合の崩壊により、底辺の90%の労働者の実態がワシントンや知識人の目に入らなくなった。
- ワシントンと金融業界では確かに今夏に景気回復が見られたので、他の地域の経済の実態が見えなくなった。
- 銀行救済のための税金投入に当たって然るべきペナルティ金利が課されなかったため、人々の政府への不信を招いた(ただし、これは、オバマ政権自体が景気回復の政策としての優先度を下げた理由にはならない)。
- 経済学界が景気回復政策に関して意見の分裂を見せたため*2、政権内の経済顧問が推奨するマクロ経済政策に対し、大統領自身や政治顧問がそれほど確信が持てなくなった。
- ニーチェの言う負け犬的な思考様式。即ち、一般に悪いこととされているものは、まさにそれ故に実は良いものなのだ、というような考え方。ここでデロングが茶会党員との会話を通じて得た実例として挙げているのは:
これに対しクルーグマンが、デロングがニーチェを持ち出すなら自分は今度はヴィトゲンシュタインを持ち出すかな、と冗談を飛ばしている。