Fear is the path to the dark side...

というのはヨーダ台詞だが、同様の警告を2人のノーベル経済学賞受賞者が行なった。


以下はMarginal Revolutionの拙訳。

Free Exchangeによるノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・スティグリッツの引用:

我々は、セーフティネットを、潰すには大きすぎる銀行以外にも大きく広げたが、私に言わせれば、それがそもそも必要だったかという点について納得の行く議論はなされなかった。その行動は、恐怖の観念に基づいていた。それをしなければ、金融市場全体が崩壊する、というわけだ。経済学からすれば、債務を株式に転換すれば、金融機関の自己資本は十分となり、パニックを起こす理由も無くなり、もっと市場への信頼がもたらされただろう。しかし、欲しいものを手に入れるために脅し戦略を使う好機だと思った人々は、実際にその戦略を行使し、しかもそれが機能してしまった。


ブラッド・デロングによるノーベル経済学賞受賞者エドプレスコットの引用:

人々は怖がる。…マスコミは人々を怖がらせた。政権を求めた者たちが人々を怖がらせた。バーナンキが人々を怖がらせた。ポールソンが人々を怖がらせた。…人々は、次に何が起こるか分からなくなった。そして彼らは投資をやめた。ここで言う投資とは、新車を買うことや家を修繕することだ。それにより、経済は昨年の第4四半期にやや落ち込んだ。…もし優雅な無視を決め込んでいれば、経済は極めて急速に回復しただろう。…


Free Exchangeはジョセフ・スティグリッツの見方は「狂っている」と言い、ブラッド・デロングはプレスコットは「彼以外の我々が合意する現実の世界に生きていない」と言う。彼らがなぜ自信を持ってそう言い切れるのか私には分からない。

銀行分割についての意見もそうだったが、スティグリッツプレスコットの2人は、塩水と淡水の両極に位置するにも関わらず、期せずして似たような意見を述べることが多いようだ。また、スティグリッツの意見は、技術的な処理でパニックは避けられると主張する点で、ここで紹介したコクランの意見にも近いと言える。