資産バブルが所得格差の原因?

バブルが所得の一部の人間への集中を生むのか、それとも所得の集中がバブルを生むのか、という疑問をEconomist's ViewのMark Thomaが昨年10月に投げ掛けたが、それに対し、TIMEのジャスティン・フォックスが、資産バブルこそが所得格差の原因だ、と回答しているこちらでEconomist's Viewが紹介している)。


といっても、フォックスは学者ではないので、厳密な検証を提示したわけではなく、同じ日の記事で示した2枚のグラフを根拠にしている。そこでは高額所得者トップ400の納税額が全体に占める割合のグラフと、その平均税率が描かれている。それによると、高額所得者の納税額比率は確かにここ20年近く上昇傾向にあるが、一方で所得はもっと伸びたため、平均税率はむしろ減少傾向にある。
だが、フォックスが注目するのはその全体的な傾向ではなく、ところどころに見られるグラフの屈曲点である。いずれのグラフでも、金融市場が悪かった年に低下もしくは横這いになっている。実際、2006年にはトップ400の粗収入の64%がキャピタルゲインだったという。
また、平均税率は、市場のパフォーマンスが良かった年、およびキャピタルゲイン税率が下がった年に下がっている。キャピタルゲイン税率は1997年に28%から20%に、2003年に20%から15%に下がったとのことだが、確かにその年に平均税率のグラフも下がっている。


日本で同様のグラフを描いたらどうなるか興味深いところである。