適応的学習 の検索結果:

進化する信認の下での物価水準目標

適応的学習理論で有名なSeppo Honkapohjaが、物価水準目標に同理論を適用した論文を書いている(関連VoxEU記事)。原題は「Price Level Targeting with Evolving Credibility」で、著者はSeppo Honkapohja(アールト大)、Mitra Kaushik(バーミンガム大)。 以下はその要旨。 We examine global dynamics under learning in a nonlinear New K…

DSGEモデルの有用な点とは?

…期待を、限定合理的な適応的学習・意思決定(AL)で置き換えることを好む。 これは合理的期待の解が複数ある場合に特に有効。 ALはまた、IS-LMを敷衍する形で、DSGEにおけるケインズ経済学の特性を引き出す。 一般にミクロ的基礎付けを持つモデルは、どんな種類でも、限定合理性の取り込みにとって理想的。限定合理性は主体レベルで形成されるとするのが最も自然なため。 金融危機の最中およびその後の政策に関するDSGEの含意を理解するのに経済学界は手間取ったように見えたが、それはDSGE…

フィッシャー式逆さ眼鏡派と質的緩和

…させたものと思われ、適応的学習を基にしている。それに対しWilliamsonは、コチャラコタのニューケインジアンモデルに適応的期待を導入した結果を示して、Evans=McGough論文の批判は当たらない(=適応的期待の程度が高くて価格が粘着的な場合は新フィッシャー的ではないが、価格が粘着的でないと新フィッシャー的になる)、と反論した。ただ、適応的学習の研究は単純な適応的期待とは違うので、Williamsonはその点を勘違いしている気もする。 一方、思わぬところからWillia…

新フィッシャー派の見解とマクロ学習アプローチ

…hは各種の学習理論(適応的学習、演繹的学習、およびガルシアーシュミット=ウッドフォードの「熟考均衡(reflective equilibrium)」、Evans=Ramey*1の「計算均衡(calculation equilibrium)」)を紹介した上で、以下のように述べている。 The key insight of these various learning approaches is that one cannot simply take RE (which in t…

蟹は甲羅に似せてインフレを予想する

…比べて過大評価する。適応的学習モデルとは異なり、経験に基づく学習モデルでは、若い人は年寄りに比べ最近経験したインフレに重きを置く。というのは、最近の経験がこれまでの人生に占める割合がより大きいからである。コホートの平均を取ると、マクロ経済学で一般的な固定利得学習アルゴリズムから得られるのと似たようなインフレ予想が得られるが、学習速度はコホートによって異なる。我々は、ロイター/ミシガン消費者調査*3の54年に亘るインフレ予測に関するミクロデータを用いて、人生経験における違いが主…

学習しない英国人?

…. (拙訳) これは適応的学習の研究と多くの共通点を持つ興味深い論文だ。そこで使われている技法や多くの主張は、我々適応的学習の分野を研究している者にとって馴染み深いものである。適応的学習の手法の考え方は以下のようにまとめられる: 完全な「合理的期待」は非現実的なほど強力であり、経済的帰結が企業や家計(経済「主体」)の期待に影響されることによって生じる協調問題を暗に無視している。 より現実的な見方は、主体が限定合理性を有しており、その合理性の程度は経済学者自身と同程度、というも…

モデル共産主義の崩壊

…定性に関する結果は、適応的学習理論の主たる有益な成果なのでしょうか? サージェント それは学習理論の有益な成果の一つです。ただ、安定性理論は均衡の選別よりもっと重要なことに貢献したと私は考えています。安定性理論を仔細に眺めたならば、学習理論のお蔭で、我々が合理的期待均衡で意味する内容が洗練されていったことが分かります。先ほどご説明した「誤った定式化での最適な信念」における均衡に加えて、相異なる経済モデルの議論について考えることを可能にするようなタイプの合理的期待均衡が、学習理…

Dr.サージェント またはルーカスとプレスコットは如何にして尤度比検定に頼るのを止めてカリブレーションを愛するようになったか

…。インタビュアーは、適応的学習の研究で有名なGeorge W. EvansとSeppo Honkapohjaのコンビ*2で、インタビュー記事の日付は2005年1月11日。 以下はそのインタビューからの引用。 Evans and Honkapohja: What were the profession’s most important responses to the Lucas Critique? Sargent: There were two. The first and …

もう一つのブラード論文

…n/wps/data/wp04j04.pdf)。 *2:武藤論文ではπ*∋[π*L, π*H]と記述されていたが、記号の向きが逆と思われたので、ここでは修正してある。以下同様。 *3:日本の他の論文では、例えば岩本康志氏が、「Bullard and Cho (2002)は適応的学習がおこなわれる場合,名目金利とインフレ率が大きく低下して,それが持続するescape dynamics が存在することを示し,それが日本の現状を説明できるのではないかと推測している」と紹介している。

適応的期待から適応的学習へ

…手法となった。中でも適応的学習が良く使われ、エバンスの今回の論文もそれを使用している。 エバンスがBSU論文から引っ張ってきたのは以下の図である。 ここで横軸πはインフレ率、縦軸Rは金利である*3。π=π*が政策目的となる均衡、π=βが低位均衡(デフレの罠の均衡)である(βは主観的割引率)。 これに対応するエバンス論文の図が下図である。録画の中でエバンスは、この図は以下の2つの式から導いた、としている*4。 ニューケインジアンのフィリップス曲線 πt=F(πet+1, ct,…