ブルッキングス研究所が、2014年から2016年に掛けての雇用と一人当たりGDPの伸びに基づく2018年版の世界都市成長ランキング(Global Metro Monitor)を出し、そのトップ10をmedium記事で紹介している(H/T Mostly Economics)。
以下はその概要。
- 10位:厦門(中国)
- 9位:天津(中国)
- 中国の4つの直轄市*1の1つで、行政区画としては省と同格。2014年には上海と寧波舟山港に次いで中国第3の港となった。運輸のほか、技術開発への大幅な公共投資を通じて、AIでも国内をリードしている。ただ、2015年の倉庫爆発事故に見られるような、成長に伴う歪みも抱えている。
- 8位:福州(中国)
- 7位:マニラ(フィリピン)
- 6位:デリー(インド)
- 人口1900万で、ムンバイに次ぐインド第2の都市圏。ニューヨーク都市圏より約100万人少ないが、ニューヨークの人口は停滞が予想されている一方、デリーは2030年に4000万近くになるとされる。何百万というインド人が、生活水準の高さを求めてデリーに移り住もうとしている。デリーの一人当たりGDPは、国平均の3倍である18,600ドルである。デリー政府は教育、環境、運輸に大きな権限を持っているが、中央政府との権限争いを最高裁で繰り広げている。急速な都市化により、過密や汚染の問題も深刻化している。2017年11月には、デリーの米大使館の大気観測所で汚染の最高記録が観測され、市のトップが汚染状況を厳しく非難する事態を招いた。
- 5位:北京(中国)
- 天津と同様、中国の首都も省と同格である。北京の人口は2000年の1350万から2016年には2170万に増加し、メキシコ市と同等になった。経済成長や国内移住者のパターンはメガ都市以外にシフトしつつあるとは言え、北京は上海と共に依然として国の経済を左右している。北京で議論の的となっている市内への移住は政府が厳しく管理している。
- 4位:サンフランシスコ(米国)
- ベイエリアの中心地として、サンフランシスコは米国の技術発展の原動力となってきた。デジタルとバイオテク産業での独自の優位性により、投資や才能を惹き付け、一人当たりGDPを伸ばし、2016年には10.1万ドルに達した。ブルッキングスのU.S. Metro Monitorで、成長・繁栄・包括関係の指標すべてが改善した米11都市部の一つ。しかし、今後の成長の維持のためには、大きな人種的・経済的分断の縮小や、住宅コストの問題への対処に努める必要がある。
- 3位:成都(中国)
- 2位:サンノゼ(米国)
- 1位:ダブリン(アイルランド)
ちなみにレポートを見ると、ダブリンの2014-2016年の一人当たりGDP成長率は21.2%となっている。なお、この300都市部のランキングに入った日本の都市部は、東京(71位)、大阪・神戸(178位)、静岡(201位)、名古屋(207位)、広島(217位)、岡山(239位)、仙台(240位)、北九州・福岡(243位)、札幌(246位)である。