対数軸の罠・続き

少し前、一人当たりGDPと世銀の「フロンティアまでの距離」指標との回帰分析を基に、米国のGDPはもっと伸びる可能性がある、とジョン・コクランが論じたところ、Kids Prefer CheeseブログのAngusが、コクランが回帰の際にGDPを対数化したことを批判した、ということがあった。
今回、コクランがWSJ論説記事で同様の主張を書いたところ、今度はデロングが対数化の問題点を指摘し、かねてからコクランのこの主張に批判的だったノアピニオン氏がそれに賛同した

デロングは、コクランが対数軸で示した縦軸を通常に戻すことにより、コクランのグラフの問題点を端的に明らかにしている。


その上でデロングは、以下のような多項式による当てはめの方が現実的だろう、と述べている。

この図についてノアピニオン氏は、次数の高い多項式の当てはめでは、規制緩和が行き過ぎるとGDPが却って下がる可能性が示されている、と指摘している。なお、ノアピニオン氏は、規制緩和と成長の因果関係についてコクランが北朝鮮を持ち出したのに対し、企業家を自動小銃で撃ち殺しまくってGDPが下がるのと、規制や税の撤廃で一人当たりGDPが40万ドルまで上がるのとは話が別、と一蹴している。


一方、デロングは、(コクランの属する)シカゴ大もWSJも(コクラン論説を称賛したマンキューの属する)ハーバードも知的な質の管理において深刻な問題を抱えている、と揶揄している。