以前のエントリで、量的緩和のアナウンスメントという金融政策当局者が発する定量化の難しい情報をVARモデルに取り込んだ研究を紹介したユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのAnnette MeinuschとPeter Tillmannが、今度はツイートという市場参加者が発する定量化の難しい情報をVARモデルに取り込んだ表題の論文(原題は「Quantitative Easing and Tapering Uncertainty: Evidence from Twitter」)を書いている。
以下はその要旨。
In this paper we analyze the extent to which peoples' changing beliefs about the timing of the exit from Quantitative Easing ("tapering") impact asset prices. To quantify beliefs of market participants, we use data from Twitter, the social media application. Our data set covers the entire Twitter volume on Federal Reserve tapering in 2013. Based on the time series of beliefs about an early or late tapering, we estimate a VAR model with appropriate sign restrictions on the impulse responses to identify a belief shock. The results show that shocks to tapering beliefs have profound effects on interest rates, exchange rates and asset prices. We also derive measures of monetary policy uncertainty and disagreement of beliefs, respectively, and estimate their impact. The paper is the first to use social media data for analyzing monetary policy and also adds to the rapidly growing literature on macroeconomic uncertainty shocks.
(拙訳)
本稿では、量的緩和からの出口(「テーパリング」)のタイミングについての人々の考えの変化がどの程度資産価格に影響するかについて分析した。市場参加者の考えを定量化するため、我々はソーシャルメディアアプリケーションであるツイッターのデータを利用した。我々のデータセットは、2013年のFRBのテーパリングに関するツイートすべてをカバーしている。テーパリングの実施が早いもしくは遅いという考えの時系列データに基づき、我々は、インパルス反応に適切な符号制約を課したVARモデルを推計し、テーパリングに関する考えへのショックを同定した。その結果によれば、テーパリングに関する考えへのショックは、金利、為替相場、および資産価格に大きな影響を与える。我々はまた、金融政策の不確実性、ならびに、考えの齟齬についての指標をそれぞれ導出し、その影響を推計した。本稿はソーシャルメディアを用いて金融政策を分析した初めての研究であり、また、マクロ経済の不確実性ショックに関して急速に蓄積されつつある研究の一つとなるものである。