28日、29日にはMostly Economics経由でBIS年次総会でのアンドリュー・クロケット記念講演を紹介したが、今日はMostly Economics経由でBIS年次総会でのオープニング講演を紹介してみる。講演者はBISのチーフエコノミスト兼金融経済部門責任者のスティーブン・チェチェッティ(Stephen G Cecchetti)で、これが5回目にして最後のオープニング講演との由。
内容は簡潔で、彼が危機から得た、経済研究にとっての2つの洞察と、政策にとっての3つの洞察と、BISにとっての2つの洞察を提示している。
以下は経済研究にとっての2つの洞察。
- 思ったより量は重要
- 思ったよりモラルハザードは問題
- 「潰すには大きすぎる」金融機関に当局の支援を見込んで市場は安易に資金を提供し、結果、システマティックリスクの過小評価と、金融機関側の同リスクの積み増しにつながってしまう。
以下は政策にとっての3つの洞察。
- 短期金利だけでは十分ではない
- 高水準の債務は成長の足を引っ張る
- 市場規律だけでは十分ではない
このうちの第2点についてチェチェッティは、ラインハート=ロゴフではなく(本ブログでは以前ここで紹介した)自らの研究を引き、政府債務の増大に警鐘を鳴らしている。
以下はBISにとっての2つの洞察。
- 思ったより国境を越えた活動は重要
- グローバルな問題にはグローバルな解決策が必要