日本の金融リテラシーの世界における位置づけ

を示す図をUDADISIがブログエントリに上げている

この図の引用元は、ダートマス大のAnnamaria Lusardiとペンシルベニア大のOlivia S. Mitchellの共著論文「The Economic Importance of Financial Literacy: Theory and Evidence」。ただし、図の元データとなる調査自体は、同じ著者の別の論文*1で既に2年前に報告されたものとの由。


グラフは、各国について、左側の模様入り棒グラフが金融リテラシーに関する3つの質問を全問正解した割合であり、右側の白抜き棒グラフが全問不正解の割合である。我が日本は、調査8カ国中、全問正解率がスウェーデンニュージーランドと並んで最も低く(27%)、全問不正解率がロシア(28%)、イタリア(20%)に次いで高い(17%)、というあまり芳しくない結果になっている。


その3つの質問と回答の選択肢は以下の通り。

  1. 預金口座に100ドルがあり、利率が年率2%だとします。預金が殖えるに任せるとしたら、5年後の口座残高は幾らになっていると思いますか?
    • 102ドルより多い
    • ちょうど102ドル
    • 102ドルより少ない
    • 分からない
    • 回答拒否
  2. 預金口座の利率は年率1%で、インフレ率は年率2%だとします。1年後、この口座にある預金でどのくらいの買い物ができるでしょうか?
    • 今日より多い
    • 変わらない
    • 今日より少ない
    • 分からない
    • 回答拒否
  3. この文章は正しいでしょうか、間違っているでしょうか:「一つの企業の株式を買うことは、通常、株式投信を買うよりも安全なリターンを提供してくれる」


ぐぐってみると、著者の一人(Lusardi)がこちらのリポートにこの調査内容について書いているのが見つかった。そのリポートでは3つの図が提示されているが、最初の図は全問正解率を4カ国について提示したものである(なぜか数字が上の図と微妙に違う)。


次いで、全問正解率を性別に分けたグラフを提示しているが、男性に比べた女性の低さを示す結果となっている。


3番目の図は、少なくとも一問で「分からない」を選択した割合だが、こちらは男性に比べた女性の高さを示す結果となっていると同時に、日本の高さが際立つ結果ともなっている。


なお、調査報告のWPによると、2番目のインフレに関する質問については、イタリアのようにインフレを最近経験した国では正解率が高かったが、日本のようにデフレを経験した国の正解率は低かったとの由。

また、金融リテラシーの自己評価では、高齢者が実力以上に自分を評価する傾向が見られたという。また、米国では自己評価が高かったのに対し、日本では低かったという、さもありなんな結果も報告されている。

その他、回答者の正解が一問多いと、その人が退職プランをきちんと用意している確率が3〜4%ポイント高い、という結果も報告している。

*1:サブスクリプション。WPはこちらで読めるが、結果の表ないしグラフは記載されていない。