という内容の記事が、昨日のエントリのネタ元でもあるThe Big Pictureの11/17エントリで紹介されていた。
元記事は、リチャード・ラッセルという人のDow Theory Lettersという有料ニューズレターらしいが、ぐぐってみると、Investment Postcards from Cape TownやEmerginvestといった他の投資情報サイトにも転載されている。
氏の挙げる金に投資すべき6つの理由とは以下の通り。
- 金利ゼロなので機会コストがゼロ。
- FRBの金融緩和政策によるインフレ懸念。金融緩和の結果創出された流動性は実物経済ではなく準備預金や株式市場に向かっている。また、ドル安により輸出企業が恩恵を受けているが、それに対抗して世界各国がドルに対して自国の通貨を安くしようとし、各国でインフレを生み出している。
- 世界の中央銀行はドル安からの防衛のために金を購入している。WSJには「中央銀行が新たなゴールドラッシュに加わる(Central Banks Join A New Gold Rush)」という記事が掲載された。
- 世界各国は自国の金準備比率を増やそうとしている*1。各国の金準備率は以下の通り。
- 米国 :77.4%
- ドイツ :69.2%
- イタリア :66.6%
- フランス :70.6%
- 英国 :17.6%
- 日本 : 2.3%
- インド : 4.0%
- ロシア : 4.3%
- 中国 : 1.9%
- 米国では金の保有者は極めて少ない。
- 中国や英国で金投資が盛んになっている。
なお、Investment Postcards from Cape TownとEmerginvestでの転載には、デビッド・フラーという別のニューズレターの発行人からの引用も添えられている。それによると、現在の短期的な状況としては、インドの中銀の買い付けに驚いて市場が買い進みすぎた側面があり、ちょっとした調整があるかもしれない。だが、人々が金に向かう趨勢は変わらないだろう、とのことである。
ちなみにThe Big Pictureは、時折り金価格についてエントリを上げているが、その投資価値についてはやや懐疑的なスタンスを示している。たとえば…
- 11/18エントリ(マイケル・パンツナー)では、国債に対する金の相対価格を描画し、30年前のピークに近づいていることを示している。その30年前はインフレへの恐怖がピークに達した時だった。
- 11/18エントリ(バリー・リソルツ)では、金、銀、白金、パラジウムの今年に入ってからの価格推移を並べて描画し、他の貴金属に比べれば金の価格上昇率は低いことを示している。
- 11/17エントリ(バリー・リソルツ)では、S&P500に対する金の相対価格を描画し、今回のピークは30年前に比べればかなり低いことを示している。
- 10/7エントリ(バリー・リソルツ)では、インフレ調整済み金価格を描画し、今回のピークは30年前に比べれば半値以下であることを示している。
- (おまけ)11/19エントリ(マイケル・パンツナー)では、「金を売って猫を買おう」というギャグサイトを紹介している。
(注:エントリの後の括弧内は執筆者)
また、ワシントンブログでも金価格について何度か取り上げているが、10/17エントリでは各国の通貨単位で見た金価格が紹介されている。これを見ると、ドル安を反映してドルベースでは確かに金価格が高騰しているが、円など他国通貨ベースではそれほどでもないことが分かる。
また、同ブログのこの10/13エントリは、金価格についての取りあえずの総まとめのような形になっている。長いエントリだが、興味のある方はどうぞ。
最後に、言うまでもないと思いますが、本エントリは金など特定商品への投資を勧誘・推奨するものではございません。このブログにそんなものを求めている人はいないと思いますが、為念。