中銀が受け身で無くなる時

今月初めにNick Roweが、金本位制における中銀とインフレ目標制度における中銀の共通性についてエントリを上げ、以下のような仮想的な変化の過程を辿ることによって前者が連続的に後者に転じる、と論じた*1

  1. 金準備100%
  2. 金準備100%未満
  3. 金準備0%
  4. 貨幣と金の交換レートを固定ではなくクローリングペッグにし、貨幣を年2%減価させる
  5. 年2%という減価率に幅を持たせ、レンジターゲットにする
  6. 年2%という中心レート自体にも柔軟性を持たせ、年によって上下に振れることを可能にする(ただし、その振れは平均的にゼロになるようにする)
  7. 貨幣の交換レートの対象を金と銀のバスケットにする
  8. バスケットに金銀以外の財貨も加える
  9. バスケットをCPI採用品目とし、ウェイトもそれに準じる
  10. ペッグの対象となるバスケットの価格を、現在の価格から予想価格に変える

これに対しDavid Glasnerが、金本位制においては中銀は受け身に徹するが、インフレ目標の中銀はそうではない、と異議を唱えた

するとそのエントリのコメント欄で、Roweが以下の点を指摘して反論した。

  • 金準備が100%でなくなった途端、中銀はもはや完全な受け身ではなくなる*2
  • 逆に、インフレ目標を掲げた中銀でも、CPIバスケットを100%裏付けとして保有していれば、(現在価格と予想価格の話[上記の段階10]に踏み込むまでは)完全な受け身でいられる。

*1:Mostly Economicsはこのエントリを絶賛した。

*2:Bill Woolseyも同じコメント欄で同様の指摘をしている。