中銀総裁は他国の内政に口を出すべきではない?

パウエル支持の声明 - himaginary’s diaryで紹介した各国中銀総裁などによるパウエルFRB議長を支持する声明にニュージーランド準備銀行のアンナ・ブレマン総裁も署名したが*1、それが同国内で波紋を呼んでいるというニュースをMostly Economicsが紹介している。以下はその1News記事の冒頭。

Foreign Minister Winston Peters has hit out at Reserve Bank Governor Anna Breman for signing an international statement defending the US Federal Reserve chair, saying she should "stay in her New Zealand lane".
The rebuke comes after Breman signed a solidarity statement supporting Jerome Powell, whose central bank has faced threats of investigation and possible criminal charges from president Donald Trump's Justice Department.
In a tweet, Peters commented on Breman choosing to co-sign the statement.
"The Reserve Bank of New Zealand (RBNZ) is statutorily independent of central Government on matters of monetary policy. However, the RBNZ has no role, nor should it involve itself, in US domestic politics," the Foreign Minister said in a statement.
"We remind the Governor to stay in her New Zealand lane and stick to domestic monetary policy. That would have been the advice of the Ministry of Foreign Affairs and Trade if the Governor had sought its advice, which she did not."
Asked for a response, a Reserve Bank spokesperson said "we have no further comment."
(Edge翻訳を適宜修正)
ウィンストン・ピーターズ外相は、米連邦準備制度理事会議長を擁護する国際声明に署名したアンナ・ブレマン総裁に対し、「ニュージーランドの矩を守るべきだ」と非難した。
この非難は、ブレマンがジェローム・パウエルを支持する連帯声明に署名した後に起こった。パウエルの中央銀行ドナルド・トランプ大統領の司法省から調査や刑事告発の脅威に直面している。
ピーターズはツイートで、ブレマンが声明に連帯署名を選んだことについてコメントした。
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、金融政策に関しては中央政府から法的に独立しています。しかし、RBNZが米国の国内政治において果たす役割はなく、関与すべきでもありません」と外務大臣は声明で述べた。
「私たちは総裁にニュージーランドの枠内に留まり、国内金融政策に専念するよう改めてお願いします。もし知事が外務貿易省の助言を求めていたなら、そうした助言を行ったでしょうが、彼女は求めませんでした。」
回答を求められた準備銀行の報道官は「これ以上のコメントはありません」と述べた。

こちらブルームバーグ記事もこの件を報じている。

ちなみにブレマン総裁はスウェーデン出身で、昨年12月にリクスバンクからニュージーランド準備銀行総裁に転身している(cf. Anna Breman is leaving the Riksbank | Sveriges RiksbankAnna Breman - Reserve Bank of New Zealand - Te Pūtea Matua)。一方のピーターズ外相はウインストン・ピータース - Wikipediaによると1993年にニュージーランド・ファースト党を結成した人とのことで(英語版によると現リフォームUK党首のナイジェル・ファラージが親近感を込めて「ニュージーランドドナルド・トランプ」と呼んだこともあるとの由)、来たばかりの外国人がトランプ政権と波風を立てるような余計なことをしてくれるな、という思いがあるのかもしれない。
なお、上の1News記事ではドン・ブラッシュ元ニュージーランド準備銀行総裁の言葉も引用しているが、そこでブラッシュはブレマン総裁が署名したことに安堵した、と述べている。ドン・ブラッシュ - Wikipediaによるとブラッシュは1988年から2002年まで14年間ニュージーランド準備銀行総裁を務めた――これはちょうどニュージーランドが世界に先駆けてインフレ目標制度を確立した時期に相当する――後に政界に転身し、国民党党首も務めている。英語版によるとネオリベ志向の強い人のようなので、政治の金融政策への介入に抵抗感を示すのもむべなるかな、という感じもする。

*1:なお、13日エントリでリンクしたBOEのサイトには同総裁の署名はないが、ECBのサイトにはあるので、後から加わったようである。他のECBサイトにあってBOEサイトにない署名者は
Ida Wolden Bache, Governor of Norges Bank(イーダ・ヴォルデン・バーチェ、ノルウェー銀行総裁)
Ásgeir Jónsson, Governor of the Central Bank of Iceland(アウスゲイル・ジョウンソン、アイスランド中央銀行総裁)
Perry Warjiyo, Bank Indonesia(ペリー・ワルジヨ、インドネシア銀行)[ブルームバーグ記事によると15日に追加]
Lesetja Kganyago, Governor of the South African Reserve Bank(レセチャ・クガニャゴ、南アフリカ準備銀行総裁)