素人なりに思い付いたことを取りあえず書いてみる。
- トランプは企業買収の枠組みで物事を捉えているのではないか。即ち、ビジネス上目障りな会社の株式を買い占めて緊急動議でCEOを追い出し、最大株主としてその会社を支配する、という感覚で動いているのではないか。取りあえずは副大統領に国家運営を任せる、というのは、買収直後にいったん従来のNo.2を暫定CEOに据える、という感覚か。
- 企業買収の枠組みで考えているので、国際法の枠組みがどうこう言っても話が通用しない。本人がプロレスのつもりでやっていることを、ボクシングのルールを守っていないと批判しても、アリと猪木の異種格闘技戦と同じくらい噛み合わない話となる。
- 企業買収ならば、皆が企業関連の法規を守ることが前提なので、株式を握ってしまえばかなりのことが思い通りに進む。また、米国のような法治国家においては、大統領になってしまえば、やはりかなりのことが思う通りに進む。そうした個人的な成功体験が今回の行動の背景にあるかもしれないが、余所の国、しかも失敗国家の運営についてはそう易々と事は運ばないだろう。
- 株主総会や役員会での決議と違い、軍事作戦では人命が失われる。第1期政権の初期には、トランプは人命の損失を忌避する傾向があるとされてきたが、米議会襲撃事件の際は、自らの思い込みによる扇動で人命が失われても平然としていた。権力の座にあるうちにその点について段々と感覚が麻痺してきた可能性もある。
- ベネズエラ国民の多くは独裁者が去って喜んでいるが、指摘されている通り、これは今回の作戦の目的ではない。喩えるなら、DV親父が居なくなって子供が喜んでいるが、別に親父はDVが咎められて公的機関に捕縛されたわけではなく、ビジネス上のトラブルでライバル組織に拉致されただけ。
- その伝で行くと、中国の行動は、国内でDVを振るっている親父が、近隣の家庭に対し、そもそもそこの土地は俺のものだとして勢力範囲を広げようとしている感じか。ロシアのウクライナ侵攻は、分家して大きくなった組織が、別の道を歩もうとしている本家を支配しようと殴り込みを掛けている構図。
- 五大国のうち三大国がこのように勝手気ままな行動を取っている状況では、指摘されている通り、国際法は無力に近い。いわば、各国がロイ・ビーン*1気取りで手前勝手な法律解釈により行動している状況。他の国は、彼らロイ・ビーンたちに少しでも良識と正義感が残されていることを期待するしかない。だが、頼みの綱だった米国も、元々独善的だったにせよ、ワン・オブ・ゼムに堕しつつある。各国はこれを固唾を呑んで見守るしかない。
- 今回の件、ないしこれまでの国際政治の推移から得られる教訓は、非民主的で国民を弾圧する国は、力を付けると、いずれ他国にも牙をむく、ということではないか。中露はもちろん、米国も強権体質の人をトップを据えたことで民主主義が少しおかしくなるとあっという間に他国に対し威圧的・暴力的な行動を取るようになった。抑止理論は、そうした国を抑え込むための戦略理論で、いわばex postに専制政治を抑え込むための理論だった。今後は、ex anteに専制政治を抑え込む理論、言うなれば経済危機についてのFRBビューではなくBISビュー的な理論をもっと真剣に考える必要があるのではないか。その場合、国際法の根幹の一つである内政不干渉についても見直す必要があるかもしれない。
*1:cf. Roy Bean - Wikipedia。