というFEDS NotesをMostly Economicsが紹介している。原題は「Is China Really Growing at 5 Percent?」で、著者はWilliam L. Barcelona、Danilo Cascaldi-Garcia、Jasper J. Hoek、Eva Van Leemput。
同レポートの最初の図では、中国のGDPが2010年代後半に過度にスムーズだったことを示している。これが著者たちが2022年に代替的なGDP指標を開発した理由だという。しかしコロナ禍以降はGDP成長率のボラティリティは普通の国と同程度に戻っている。

(実質GDPの4四半期の変化率の第一階差の5年移動標準偏差。赤色が中国、灰色が他の108か国)
また、2022年に著者たちが開発した代替GDP指標も、下図の通り、最近では公表GDPと合うようになったという。代替指標は工業生産、小売売上高、不動産市場データ、他国の中国向け輸出などの指標から共通成分を取り出して構築しているとの由。
両者を比べると、世界金融危機時の落ち込みと反動は代替指標の方が公表GDPより大きい。その後、公表GDPの成長率は極めてスムーズに推移したが、代替指標は2014-15年に5ポイント程度低下した後に反動で同程度上昇している。この時期には中国の金融安定性の問題が生じ、株式市場、資本移動、為替など金融に変動が生じたことに鑑みると、公表GDPは過度にスムーズだった、と著者たちは指摘している。しかし、コロナ禍後は両者は密接に連動している。

なお、最近の中国の不動産問題を考えれば、5%成長率でも強いと言える。その理由を探ったのが以下の図である。この図のパネル(a)によると、工業生産は武漢ロックダウン時に落ち込んだものの、回復も早く、最近はむしろコロナ禍前のトレンドを上回っている。これは、世界の需要がコロナ禍時にサービスから財にシフトしたことの恩恵を中国が受けたことが一因だという。また、ゼロコロナ政策で供給網の混乱を防いだため、上海をロックダウンした時でさえ生産にはさほど影響がなかった、と著者たちは指摘している。さらに、高付加価値部門の自立を目指した中国の産業政策も力強い生産に寄与したとの由。

対照的に、パネル(b)の消費は弱い。これは、生産を支えたゼロコロナ政策が消費には逆風となったほか、次の図に示されるように当局が3つのレッドライン政策で不動産に厳しい態度で臨んだ結果、不動産市場が低迷したことが影響している、と著者たちは言う。

中国の最近の成長は純輸出に支えられているが、貿易紛争を考えるとそれが持続可能とは考えられず、また過剰生産能力の問題に鑑みると投資の増加も期待薄である。従って5%成長を維持するためには消費を強化するほかはなく、そのことは中国政府も認識しているようだ、と述べて著者たちはこのレポートを締めくくっている。