6/1エントリで紹介したエルメンドルフらの論文のまとめ記事をTobin Center for Economic Policyが上げている(H/T タイラー・コーエン)。
以下はコーエンが引用した箇条書きの概要。
- 生産性成長を通じて債務GDP比率を安定化させるためには、非現実的な高成長率が必要
- 成長促進策だけではそれは達成できない
- 調べた7つの成長促進策を足し合わせても、それに伴う財政コストを埋め合わせて、かつ、財政赤字を有意に削減するのに十分な生産性成長率の増加が得られるという証拠は見い出されなかった。
- 増税と歳出削減が必要にせよ、成長促進策は痛みを和らげることができる。
- 成長を促進する規制の変化は特に有望
以下は(コーエンが引用しなかった)政策的含意のまとめ。
- 分析者は、成長促進的な政策の変更によってどれだけ経済成長が高まるかについて現実的であるべき
- 効果を過小評価もしくは過大評価することは無益な道につながり、やがて経済分析への信頼も損なわれる。
- 政策を大掛かりに継続的な形で始めるのではなく、後戻りできる形で小さく始めれば、予期せぬ展開に対して政策当局者が調整する余地が生まれる
- 政策変更の効果の推計は本質的に不確実なものであり、従って実験と適応が正当化されるが、思考停止は正当化されない。
- 経済成長の変化の大きさに応じて税と歳出も調整するような創造的な政策変更を分析者は追究すべし
- 例えば既存の社会保障給付の式は退職者に経済成長からの大きな利得を提供しており、そのフィードバックをカットすれば成長の債務抑制効果が大きくなる。
- 今回の論文は政策の経済成長と債務への影響だけに焦点を絞っているが、政策のそれ以外の影響(安全保障や気候変動への影響など)も政策担当者は目配りすることになる
- 知識のギャップを埋めて新たな解決法を明らかにするための研究が必要
何だか住宅政策にやや偏ったまとめで、かつ、移民の効果をやや過大に見せているように見える*1ほか、小生が注目した研究開発への補助が等閑視されているという気がしなくもないが、減税の限界については日本で昨今叫ばれている消費減税論に照らして一考の余地があろう。