というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Rules versus Discretion in Capital Regulation」で、著者はUrban Jermann(ペンシルベニア大)、Haotian Xiang(北京大)。
以下はその要旨。
We study capital regulation in a dynamic model for bank deposits. Capital regulation addresses banks’ incentive for excessive leverage that dilutes depositors, but preserves some dilution to reduce bank defaults. We show theoretically that capital regulation is subject to a time inconsistency problem. In a model with non-maturing deposits where optimal withdrawals make deposits endogenously long-term, we find commitment to have important effects on the optimal level and cyclicality of capital adequacy. Our results call for a systematic framework that limits capital regulators’ discretion.
(拙訳)
我々は銀行預金の動学モデルで資本規制を研究した。資本規制は、預金者を希薄化するような過剰なレバレッジを求める銀行のインセンティブに対処するが、銀行の破綻を減じるため幾ばくかの希薄化を維持する。資本規制が時間的非整合性の問題を抱えていることを我々は理論的に示す。最適な引き出しが預金を内生的に長期にするような、満期の無い預金のモデルで我々は、コミットメントが、資本の適切性の最適な水準と循環性に重要な影響を及ぼすことを見い出した。我々の結果は、資本規制当局の裁量を制限するような体系的な枠組みの必要性を示している。
バーゼル3の銀行の資本規制は、自己資本比率規制(required capital ratio)、資本保全バッファ(conservation capital buffers=CCo)、反循環的資本バッファ(countercyclical capital buffers=CCyB)の組み合わせから成るが、前二者がルールとして定義されているのに対し、CCyBはマクロプルーデンシャル規制当局の裁量によって動的に調整できる。そうした裁量は、規制当局が経済見通しの変化に素早く対応することを可能にするが、同時に規制当局が時間的非整合性の問題を抱えることも意味する。具体的には、新たな預金を発行するとデフォルトリスクの高まりにより従来の預金価値の希薄化が生じるが、それは事実上、株式価値の増加となる。そのため、規制当局が現在と将来のレバレッジに寛大になるような形で資本規制についてコミットする場合は、そうした過大なレバレッジの利得によって破綻の可能性を減じることができる半面、コミットせずに現在の資本規制だけを考える場合はレバレッジが過小になるような規制を行うことになる、との由。