というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Are there too Few Publicly Listed Firms in the US?」で、著者はCraig Doidge(トロント大)、G. Andrew Karolyi(コーネル大)、Kris Shen(オハイオ州立大)、René M. Stulz(同)。
以下はその要旨。
Doidge, Karolyi, and Stulz (2017) show that from 1999 to 2012 the US develops a listing gap relative to other countries, meaning that it has abnormally few publicly listed firms. In this paper, we update their evidence to 2023 and find that the listing gap increases, but at a low rate. By 2023, the US has about half as many listed firms per capita as other developed countries. We discuss some of the important questions raised by the existence and increase of the listing gap to which we hope researchers will find answers.
(拙訳)
Doidge, Karolyi, and Stulz(2017*1)は、1999年から2012年に掛けて米国が他国よりも上場ギャップを拡大させたことを示した。これは上場企業数が異常なほど少ないことを意味する。本稿で我々は2023年までその実証結果を更新し、上場ギャップが拡大したが、伸び率は低下したことを見い出した。2023年の米国の一人当たり上場企業数は他の先進国のおよそ半分である。我々は、上場ギャップの存在と拡大によって提起される幾つかの重要な問題を論じ、研究者がその答えを見つけることを願う。
以下は上場企業数の推移を示した論文の図。

米国の上場企業数は1975年は4,775社で、1996年のピーク時には8,025社に達したが、前回研究の終了年の2012年には4,102社だったという。その後は、2014年、2018年、2020-2021年を除き毎年減少したが、今回の研究の終了年である2023年には4,315社と前回終了年を213社上回ったとのことである。2014年の増加は「新規産業活性化法(the Jumpstart Our Business Startups Act, 通称JOBS法)*2」によるものと思われ、2018年の増加は32社なので些細なものであったが、2019年から2021年の増加は864社と非常に多く、その結果、2021年の上場企業数は2008年以来の多さになったという。この増加はSPACブームが一因と考えられるが、2021年から2023年に掛けて上場企業数は458社減少したとの由。
4000社前後というのは日本の上場企業数とほぼ同じであり、米国の人口が日本の3倍近くになろうとしていることを考えると確かに少ないように思われる。百万人当たりの上場企業数は、米国は1975年に22.1、1996年のピーク時に29.8だったのが、2012年は13.1、2023年は12.9になったという。先進国では、1975年に23.9だったのが2012年に31.2まで高まったのが、2020年に29.3となり、その後急低下して2023年は24.5になったという。ただ、この減少にはデータベース更新の後れや手法の変化が影響している可能性もあるが、詳細は不明、と著者たちは断っている。日本は4000社と1.2億人で計算すると30を超える勘定になり、2012年の先進国の値をやや上回る水準ということになる。
以下は上場ギャップの推移。

前回研究の終了年の2012年には上場ギャップは5,436社となり、上場企業数の4,102社を超えていた。それが2023年には7,162社まで拡大したとの由。