9/4エントリで取り上げたアレックス・タバロックの豪州批判にタイラー・コーエンも参戦し、「自由と安全のフロンティア(liberty vs. safety frontier)」ないし「自由と生命のフロンティア(liberty vs. lives frontier)」に豪州は乗っていないのではないか、と指摘した。タバロックのエントリに対しては豪州はそうしたフロンティアに乗っているので問題無い、というレスポンスがあったそうだが、コーエンは納得していないとの由。というのは、コーエンに言わせれば、以下の4点において豪州はやれることをやっていないからである*1。
これら4点についてやれることをやっていない、というコーエンの指摘は、日本にもそのままあてはまりそうである。その意味で、日本もフロンティアに乗っているとは言い難いように思われる。ただ、豪州と違って、日本はロックダウンのような個人の自由を制限する手段をそれほど取っていない一方、コロナ禍の被害は豪州よりも大きいと思われるので、自由度と安全性の座標平面における位置は豪州とは違うかと思われる。試しに描画してみると以下のような感じになろうか*4:
ここで白抜きの実線矢印はフロンティア上の同じポイントに辿り着くまでの経路である。即ち、豪州においては、自由度を高めつつ安全性も高める手段がある、というのがコーエンの見立てである。一方、日本については、コーエンの言う安全性を高める手段も取りつつ、ロックダウンの手法を取り入れる形で自由を今よりも制限すれば、その点に辿り着けるかと思われる。ここで両者の目標として仮置きしたフロンティア上の点は、あるいは台湾が近いのかもしれない。ただ、日本については、自由を制限しなくても、白抜き点線矢印のように右方向に水平に移動すれば、右下方向に移動するよりも安全性では劣るものの自由度が高いフロンティア上の点に辿り着けるのかもしれない。
また、中国も試しに描き込んでみたが、自由を大きく制限し、安全性を高める手段をとことん追求しているので、フロンティアの右下に近いところに位置しているかと思われる。