真剣ではないバーナンキ

クルーグマンが、我が意を得たり、とばかりにバーナンキブログ記事から以下の一節を引用している

The slow recovery from the crisis of the euro zone as a whole is the result, among other factors, of (1) political resistance that delayed by many years the implementation of sufficiently aggressive monetary policies by the European Central Bank; (2) excessively tight fiscal policies, especially in countries like Germany that have some amount of “fiscal space” and thus no immediate need to tighten their belts; and (3) delays in taking the necessary steps, analogous to the banking “stress tests” in the United States in the spring of 2009, to restore confidence in the banking system. I would not, by the way, put “structural rigidities” very high on this list. Structural reforms are important for long-run growth, but cost-saving measures are less relevant when many workers are already idle; moreover, structural problems have existed in Europe for a long time and so can’t explain recent declines in performance.


(拙訳)
ユーロ圏全体の危機からの鈍い回復は、他の要因にもまして、以下の結果である。

  1. 欧州中央銀行の十分に積極的な金融政策の導入を何年も遅らせた政治的抵抗
  2. 特にドイツのように「財政的余地」が幾らか存在し、従って直ちにベルトを引き締める必要の無い国においての過度に引き締め的な財政政策
  3. 米国が2009年春に行った銀行「ストレステスト」のような、銀行システムの信頼を回復するための必要な手順を踏むことの遅れ

なお、私は「構造的硬直性」をこのリストのあまり上位には置こうとは思わない。構造改革は長期の成長のためには重要であるが、多くの労働者が既に稼働していない状況については費用節約的な手段の重要性は乏しい。また、欧州での構造問題は長年に亘って存在しており、従って近年のパフォーマンスの低下を説明できない。


これは、別の髭面のアングロサクソン経済学者たちが言ってきたことと似ているではないか、とクルーグマンは書いており、ブログエントリのタイトルを、バーナンキは「真剣」――クルーグマンが緊縮主義者を揶揄する時に使う言葉――ではない(Bernanke Isn’t Serious)、としている。


ちなみにバーナンキは以下の二つの提案でブログ記事を結んでいる。

  1. ギリシャの明らかに持続不可能な債務負担に関する交渉は、欧州の成長に関する明示的な前提に基づくべきである。もし欧州の成長が予想を下回ることが判明したならば、それはギリシャにとっても成長が難しくなることを意味するわけであるから、ギリシャの財政目標の達成に関しての猶予を事後的に大きくすべきである。
  2. 今や、ユーロ圏の指導者が大規模で継続的な貿易不均衡(黒字か赤字かに関わらず)の問題に取り組むべき時である。そうした不均衡は、ユーロ圏のような固定為替相場制度の下では、大いなるコストとリスクを伴う。例えば、財政赤字の制限目標についてルールとペナルティを課す安定・成長協定を、貿易不均衡も参照するように拡充することが考えられる。債務国だけでなく債権国も時間を掛けて(例えば財政的・構造的手段を用いて)調整する義務を負うということを公的に認めるだけでも、正しい方向への重要な一歩となるだろう。