GDPギャップなんかいらない?

本石町日記さんもツイートしているが、クリス・ディローがGDPギャップ反対論をぶっている

彼の反対論の理由は以下の2つ。

  • 経済が速く成長している時は、供給制約が意外に弱いため潜在GDPが思ったより高い、もしくは、投資が資本ストックを押し上げているため潜在GDPが上昇している、と考えるため、潜在GDPの推計は景気循環に沿ったものとなりがち。これは、金融財政政策が十分に反循環的なものとならない危険性を秘めている。
    • 不況時には潜在GDPが低下したと考えてGDPギャップを過小評価する結果、インフレ予想や「構造的」財政赤字を高く見積もり、十分な緩和策を取らない。
    • 逆に好況時には潜在GDPならびにGDPギャップを過大評価し、十分な引き締め策を取らない。
  • GDPギャップにはミクロ的基礎付けが欠落している。個々の企業において、販売価格引き上げにつながる追加的なコスト無しに生産を拡大できるかどうかは、経営者でさえ分からない。そうした生産拡大を可能ならしめるのは効率改善に掛かっているが、そのような改善は実地で会得して実施するものである。しかし明日会得することを今日知ることはできない。つまり、潜在能力という概念は可変で不可知なものである。
    • 第一線の経営者でさえ自らの供給余力を分かっていないのに、経済学者が外から推測して分かるわけがない。実際、英国のGDPギャップの推計値はCapital Economicsの6%からFathom Consultingの0.8%までばらついている。つまり、GDPギャップは不確定性が大きく、S/N比が悪い。

ディローはまた、近年英国でGDPギャップが縮小したにも関わらずインフレ率が低下したことを指摘し、本来の主要目的の一つであるインフレ率予測にもあまり役に立たない、と指摘している。