グリーン車と普通車の間の均衡問題として考えてみると

昨日二重の意味で炎上騒ぎがあった新幹線のグリーン車の問題を表題の経済学的問題として考えられないかと無い知恵を絞って素人なりに頭を捻ってみたのでメモ。

通常の状態
普通車に比べたグリーン車による効用と、そのための対価が均衡
…通常の運行状況を前提として、普通車の乗客も窮屈な状況と言うグリーン車に比べた不効用を甘受
運行遅れなどの外部ショックが加わった状態
対価が変化していないにも関わらず、外部ショックによって均衡が崩れ、相対的にグリーン車乗客の得る効用が高まった
…換言すれば、窮屈な状況の悪化および長時間化によって、普通車のグリーン車に比べた不効用が当初の想定(均衡状態)より高まった


●均衡を取り戻す方策

  • グリーン車の効用が相対的に上昇したのだから、それに見合って対価を上昇させる
    • 対価の上昇分をそのままJR東海が懐に入れてしまうと、311の時に便乗値上げしたホテルと同じになってしまうので、相対的に効用が低下している普通車の乗客に還元する必要が生じる
    • 問題:
      • グリーン車の乗客からの追加徴収、および普通車の乗客への還元という事務的な手間
      • 支払い拒否への対応をどうするか?
  • 対価をそのままにして、拡大したグリーン車と普通車との効用の格差を縮小する
    • 有田策:空き席を普通車乗客に開放
      • 優先順位の問題
        …立っている弱者(お年寄り、子供)優先
      • 普通車側は混雑度緩和で不効用が減少、グリーン車側は混雑度拡大で効用が減少
        …狙い通り、効用の格差は縮小
      • ただ、空き席という遊休設備を活用して座れる人を増やすので、“死荷重”の減少により電車内の総余剰は上昇すると考えられる
    • 問題:
      • 優先者の決定、普通車からグリーン車への誘導、グリーン車の途中乗車客があればそちらを優先させる、などの手間
      • 座れる人から対価を徴収するか否か
        …批判者も主にこの点を問題にしている
        • 本来のグリーン車乗客と同額を徴収するか、もしくは時間を区切って座席を交替させるというように普通車乗客の間で効用の上昇分を均霑させる工夫をするか
          …後者の場合、事務的な手間がさらに大きくなる。また、結果として縮小した普通車乗客とグリーン車乗客の効用格差が対価に見合ったものとなっているかどうかの判定はどうするか?


●そもそも均衡を取り戻す役割をJR東海が担うべきなのか?

  • 私企業なのでそこまでする謂われはない、という議論もあるが、サービス(の格差)と対価との関係が崩れてしまったのだからまさに私企業の営利事業の範囲内の問題であり、いわばBCPの問題、という見方も出来るかも?


●均衡を取り戻すべきとして、どの程度の大きさの外部ショックが加われば均衡を取り戻す方策を発動すべきか?

  • 仮に新幹線がどこかのトンネルに閉じ込められて数日間立ち往生という事態であれば、空き席の活用に異議を唱える人はあまりいないだろう。しかし、今回のように数時間の遅れの範囲内であれば、価格秩序を崩してそこまでの手間を掛けてすることではない、と反対者が多くなる。