中流家庭の所得は停滞していない

マンキューが16日エントリでそう書いている。以下はその概要。

  1. 1979年から2007年に掛けて、課税前、所得移転前の課税単位の現金収入の中位値は3.2%しか上昇しなかった。これが中流家庭の所得の停滞の証とされている。しかし…
     
  2. 課税単位より重要なのは家計。夫婦は1課税単位だが、同棲カップルは2課税単位である。結婚から同棲という時代の流れを所得の低下として扱うべきではない。課税単位ではなく家計を見ると、3.2%という惨めな数字は12.5%というそれなりの数字になる。
     
  3. 政府の移転支出を考慮すると、12.5%は15.2%に改善する。
     
  4. 該当期間中の減税を考慮すると、15.2%という数字は20.2%にまで上昇する。
     
  5. 家計のサイズは皆同じではなく、時を追って少人数化している。家計のサイズについて調整すると、20.2%は29.3%に増加する。
     
  6. もう一つ、雇用者提供の医療保険も考慮すべき。フリンジベネフィットとしてこれは重要さを増している。これを考慮すると、29.3%とういう数字は36.7%にまで引き上げられる。

マンキューは以上の数字をコーネル大学のRichard Burkhauserの論文から引用している。これは有名なPiketty-Saezデータの限界を示した論文との由。


なお、このエントリの冒頭でマンキューは、オバマ大統領が格差拡大に目を向け始めたのは、医療改革の出だしが散々だったことから人々の目を逸らすため、と断じている。