マンキュー対ローマ法王

マンキューがWaPoで報じられたローマ法王の以下の言葉*1反応している

“Some people continue to defend trickle-down theories which assume that economic growth, encouraged by a free market, will inevitably succeed in bringing about greater justice and inclusiveness in the world,” Francis wrote in the papal statement. “This opinion, which has never been confirmed by the facts, expresses a crude and naive trust in the goodness of those wielding economic power and in the sacra­lized workings of the prevailing economic system.”
(拙訳)
「自由市場によって促進される経済成長が、より良い正義と包括性を世界にもたらすことに必然的に成功する、と前提するトリクルダウン理論を擁護し続ける人もいる」とフランシスコは法王の声明に書いた。「この見解は、事実によって確認されたことはなく、経済的な力を振るう者の善性、および現在支配的な経済システムの神聖化された機能への粗野かつナイーブな信頼を示すものである。」


これについてマンキューは以下の3点を指摘している。

  • 歴史を通じて、自由市場資本主義は経済成長の大いなる原動力であり、そして、マンキューの同僚のベン・フリードマンが書いたように、経済成長はより道徳的な社会への大いなる原動力であった。
  • 「トリクルダウン」は理論ではなく、左派の人々が自らの批判する見解を表わすのに使った軽蔑的な言葉に過ぎない。右派の人々が左派の「富裕層課税」理論に言及するのと同様の話。法王が、相反する見解同士の柔軟な議論を促すのではなく、軽蔑的な言葉を使うのを目にするのは残念。
  • 自分の知る限り、法王は教会の免税特権に触れていない。この問題に関する彼の見解を是非とも知りたいところ。あるいは教会が受けている税制面の恩恵がトリクルダウンすることによって良い効果をもたらすと考えているのかも知れないが。