失業は健康に良い

という現象を見い出した研究の存在をThe Academic Health Economists' Blogというブログが指摘している(H/T EconAcademics.org)。一見直観に反するように思われるが、その理由としては以下の4点が挙げられるという。

  1. 時間の機会費用
    • 好況時には余暇が減り、運動のような健康を改善する行為が減少する。一方、不況時には時間的余裕ができて健康を増進する活動にそれなりに時間を割けるし、医者を訪れることもできる。
  2. 生産要素としての健康
    • 財とサービスの生産には健康な人々が要求される。しかしそうした生産は健康に悪かったり、ストレスの元になったりする。また、建設部門のように最も健康に危険の多い職場は、不況の影響を最も受けやすい。
  3. 外的な死因
    • 通勤時間に費やす時間が少なくなれば、自動車事故の可能性も少なくなる。また、好況時には飲酒運転が多くなる。
  4. 所得効果
    • アルコールや煙草など健康に悪い商品の消費が少なくなる。


その上でブログ主は、英国の2011年のセンサスデータを用いて、今回の不況における失業と健康との相関関係を調べている。単純な相関を取ると構造的失業者も入ってくるため思うような結果は出ないが、短期失業者の失業者全体に占める割合と健康状態の自己申告の散布図を描くと、下図のように失業が健康に良いという方向の相関が見られたとの由。

ここでデータは個人単位ではなく、地区単位に集約されたものとの由(各地区およそ1500人で地区数が約32,000)。