ハイパーインフレの原因とはならないこと

ここで紹介したケイトー研究所のハイパーインフレーション論文を読んで、フェリックス・サーモンが以下のような考察を述べている*1

The real value of this paper is its exhaustive nature. By looking down the list you can see what isn’t there — and, strikingly, what you don’t see are any instances of central banks gone mad in otherwise-productive economies. As Cullen Roche says, hyperinflation is caused by many things, such as losing a war, or regime collapse, or a massive drop in domestic production. But one thing is clear: it’s not caused by technocrats going mad or bad.
(拙訳)
この論文の真の価値は、その網羅性にある。リストを見れば、そこに欠けているものが分かる。そして、驚くべきことに、そこに欠けているのは、生産的であったはずの経済において中央銀行が正気を失った、という事例である。Cullen Rocheが言うように、ハイパーインフレの原因は多々ある。敗戦然り、体制崩壊然り、国内生産の大きな落ち込み然り。しかし、一つ明らかなのは、官僚が正気を失ったり劣化したりすることが原因とはならない、という点だ。


ちなみに上記で言及されているCullen Rocheは、サーモンがリンクしたBusiness Insider記事のほかにも、自分のサイトでハイパーインフレ論を活発に展開しておりSSRN論文も書いている)、最近の記事は、FT alphavilleからもリンクされている。ただし、経済学者というわけではなく、これによると、まだ30そこそこのウォール街での脱サラ組のようである。

*1:なお、サーモンは、完全な民主主義国がハイパーインフレに陥った事例は無い、とも述べたが、ワイマールはどうなんだ、と皆に突っ込まれてその点は訂正している。