政府の効率性を測る手紙

というアンドレイ・シュライファーらのNBER論文ungated版WP)をConversable Economistが紹介している(原題は「Letter Grading Government Efficiency」で、著者はAlberto Chong, Rafael La Porta, Florencio Lopez-de-Silanes, Andrei Shleifer)。


以下はその要旨。

We mailed letters to non-existent business addresses in 159 countries (10 per country), and measured whether they come back to the return address in the US and how long it takes. About 60% of the letters were returned, taking over 6 months, on average. The results provide new objective indicators of government efficiency across countries, based on a simple and universal service, and allow us to shed light on its determinants. The evidence suggests that both technology and management quality influence the quality of government.
(拙訳)
我々は159カ国の存在しない事業所の住所に手紙を発送し(1カ国当たり10通)、米国の戻り先住所にそれが返送されるかどうか、および、返送にどれくらい時間が掛かるかを測定した。およそ6割の手紙が返送され、返送に要した時間は平均して6ヶ月超であった。この結果は、単純で普遍的なサービスに基づく各国政府の効率性に関する新たな客観的指標を提供し、その決定要因の解明を可能にする。実証結果は、技術と管理の質の双方が、政府の質に影響することを示唆している。


ちなみに日本は全通返送した21カ国の中には入っているが、90日以内に全通返送した4カ国(米国、エルサルバドルチェコルクセンブルグ)には入っていない。論文の表1では返送率の高いトップ10カ国を掲載しているが、日本はその中にも入っていない(前述の4カ国以外の6カ国はフィンランドノルウェー、カナダ、ウルグアイ、コロンビア、バルバドスで、いずれも90日以内の返送率は9割)。


逆にまったく返送しなかったのは16カ国で、大半はアフリカ諸国だが、それ以外にはタジキスタンカンボジア、ロシアが含まれていたとの由。


また、90日以内に一通も返送できなかったのは42カ国で、全体の90日以内の平均返送率は35%だったという。