所得の伸びの格差は本当に起こっているのか?

Economist's Viewタイラー・コーエンマシュー・イグレシアスが相次いでレイン・ケンウォーシー(Lane Kenworthy)の以下のグラフを紹介している。

これは、中所得者層の所得の伸びが経済全体の成長に比べて遅れを取っているという現象は、所得に直接反映されない各種の手当てを考慮していないためではないか、という議論を検証するために作成された図である。CBOではそうした給付金込みのデータが取れるので、この図ではそれを赤線で表わしている。見ての通り、平均と中位値が乖離していく傾向は、通常の所得を用いた黒線と同様である。
これを以ってケンウォーシーは「所得の二極分化は現実に相当程度起きている(Decoupling is real and sizable)」と結論付けている。
一方、イグレシアスは、中位値の赤線(Q3 household income)が黒線(Median family income)に比べて2000年代は堅調だったことに着目し、その差はほぼ医療の現物支給だったことを指摘している。また、それに比べると両曲線が下がった80年代はひどい時代だった、とも指摘している。