白鯨曲線

1/24エントリで紹介したGreat Gatsby Curveについて、National ReviewのJim Manziが、除外変数バイアスがあるのではないか、と異議を唱えているタイラー・コーエン経由)。


Manziによると、同曲線の縦軸(世代間の所得の弾性値)を変えずに横軸のジニ係数を別の変数に入れ替えても、有意な相関が見られるという。具体的に彼は以下の推計結果を報告している。

  • 人口を横軸に取ると、対数線形の決定係数は0.64となる。
    • 彼はこれを、国のサイズが問題になる、ということで、白鯨曲線(Moby Dick Curve)と呼んでいる。
  • 輸出のGDP比率を横軸に取ると、決定係数は0.48となる。
  • 宗教の不均一性(細分化の程度)を表わす尺度を横軸に取ると、決定係数は0.57となる。

以上の考察を基に、Manziは、Great Gatsby Curveに除外変数バイアスが存在することを指摘し*1、クルーガーがこの曲線から将来の米国の所得の階層固定化の程度を予想しようとしたのは行き過ぎ、と批判している。

*1:また、格差と階層間の移動容易性の関係が不安定であるというWinshipの報告も除外変数バイアスの存在を裏付けるもの、と指摘している。