先月、WSJインタビューでのヌリエル・ルービニの以下の言葉が話題になった(例:この記事)。
Karl Marx said it right. At some point capitalism can self-destruct itself because you cannot keep on shifting income from labor to capital without having excess capacity and a lack of aggregate demand. That’s what’s happening. We thought the markets work. They’re not working.
(拙訳)
カール・マルクスは正しかった。ある点に到達すると、資本主義は自らを破壊することがあり得る。というのは、供給能力過剰と総需要不足を伴わずに労働から資本へ所得を移転し続けることができなくなるためだ。今まさにそれが起きている。我々は市場が機能すると思っていたが、それは機能していない。
昨日紹介したUmair Haqueの最新ブログエントリでは、このルービニの言葉をもとに、マルクスの以下の各キーワードがどれだけ現在を言い当てているかについて考察している*1。
- 貧困化
- 数十年に亘って先進国の賃金は生産性の上昇に遅れを取り、所得における労働のシェアは低下した。また、成長の果実は上位層に集中した。マルクスの予言はそこそこ当たった。
- 危機
- 過去30年間に、大雑把に言って生産過剰によるグローバル危機が幾つもあった。マルクスの予言はまあまあ当たってと言えるのではないか。
- 停滞
- 企業は利益を上げているように見えるが、価値創造を行っていない。自分やタイラー・コーエンが大停滞と呼ぶ事象が――マルクスの予言とは些か異なってはいるが――起きている。
- 疎外
- 辛気臭い会議、気の滅入る仕事、不得要領の目標といったもので満ち満ちた退屈で凡庸な職場は、疎外と言えるのではないか。この点についてはマルクスの予言は極めて良く当たった。
- 誤った感覚
- 商品の物神性
- ここでは、社会が大きさ、速さ、安さ、低俗さを求めるようになったことだけを指摘しておこう。
- 例:米国のメガモール、パンではなくビデオゲームが略奪されたロンドンの暴動
- ここでは、社会が大きさ、速さ、安さ、低俗さを求めるようになったことだけを指摘しておこう。