欧州中央銀行の金融政策の混乱を表わす1枚の図

というエントリを6/13にデビッド・ベックワースが上げている(原題は「The ECB Monetary Policy Mess in One Picture」)。


以下がその図。

出典はサンフランシスコ連銀のエコノミストFernanda Nechioによる同日付レポート


ここでNechioはユーロ採用の主要国を中核国(core)と周縁国(periphery)に分け、それぞれのグループについてテイラー・ルールから求まる金利(グループ内の各国の値を実質GDPで加重平均)を実際のECBの政策金利と共に描画している。ここで中核国はオーストリア、ベルギー、フランス、フィンランド、ドイツ、オランダ、イタリアであり、周縁国はギリシャアイルランドポルトガル、スペインである(イタリアを中核国に含めたのは、テイラールールの説明変数たるインフレ率や失業率ギャップの値は中核国に近かったからとの由)。


図では、現在の実際の政策金利水準が中核国のテイラールールからすると低過ぎ、周縁国の(マイナス金利を示している)テイラールールからすると高過ぎることが如実に表わされている。また、危機前の金利水準が周縁国にとって低過ぎたことも示されている。


このSF連銀レポートは、Mostly Economicsが「amazing and timely research」として取り上げたほか、クルーグマンも「One Size Fits One, Redux (Wonkish)」と題したエントリで取り上げている。ただしクルーグマンは、テイラールールの説明変数としてオリジナルの生産ギャップの代わりに失業率ギャップを使ったこと自体は良しとしているものの、そのテイラールールをそのまま(上図のような欧州内の分析ではなく)欧米の比較分析に用いた――大西洋の両側の労働市場の違いを無視して――ことに難色を示している。