コント:ポール君とグレッグ君(2011年第5弾)

今回のマンキューの批判対象はクルーグマンだけではないかもしれないが、クルーグマンの6/3ブログエントリに反応するかのようにその翌日にマンキューのエントリが上がっていたので、以下にまとめてみた。

ポール君
オバマ医療改革とポール・ライアンの改革案がどう違うかって? 良い質問だ。前者は家計が医療保険に払うべき上限が所得に対するパーセンテージで決まっており(そのパーセンテージは所得に応じて上昇していくスライド制になっている)、その支払い上限と最低限の保険費用との差額を政府が補填する仕組みになっている。一方、ライアン案では固定額しか支給せず、その固定額は医療費の上昇に追随する仕組みになっていないため、実際の保険費用に対して足が出ること請け合いだ。つまりライアン案は保険料支援の仕組みなどではなく、単なるバウチャー制度に過ぎない、というわけさ。
グレッグ君
ライアン案を巡る過熱気味の言論に驚いている。ライアン案の「保険料支援」はオバマ医療改革案に似ているんだけどね。双方とも個人が政府監督下にある競争市場で民間保険から保険を購入し、「補助が必要な人」(オバマケアの場合は低所得者、ライアン案の場合は高齢者)は政府が財政的に支援する。なぜそうした共通性がもっと指摘されないかと言うと、左派はライアンを悪者にしたがり、右派はオバマを悪者にしたがるからなんだ。つまり医療保険を巡る政治の過熱が双方の歩み寄りを困難にしているというわけさ。ところでこの問題に詳しいAlain EnthovenがWSJに論説を書いているから読むと良いよ(Enthovenはその中でクルーグマン5/27NYTコラムを取り上げ、ライアン案が単なるバウチャー制度だというクルーグマンの見方を真っ向から否定している)。