なぜ自動運転の自動車が実現できない?

2/16エントリで紹介したスティーブ・ワルドマンのタイラー・コーエン「The Great Stagnation」評の中に

発展途上国の中には、政治的文化的な要因によって、我々からすると目の前にぶら下がっているように見える果実を採らない国もある。しかし、実は我々自身も、自分たちが気付かないだけで、同じ状況にあるのかもしれない。

という趣旨の文章があったが、コーエン自身がそれに呼応すると思われる例をブログで提示していた

...I also favor reduced liability standards for major new innovations. Take the various plans for robot-driven cars. They will kill some people, as do human-driven cars. We run the risk of having the status quo so locked into place, so grandfathered, and so implicitly favored by the realities of regulation and lawsuits, that such an idea might never get off the ground. That in turn affects the incentives of innovators ex ante.
(拙訳)
私は主だった新規の技術革新については製造物責任の基準を下げた方が良いと思う。様々な計画が提唱されているロボットによる車の自動運転のケースを例に取ってみよう。それは人間の運転する車と同様、事故による死者を出すだろう。我々は、規制と訴訟という現実によって暗黙裡に選好された現状の維持を当然のものとし、それを改めて見直すこともしない、というリスクを冒している。そのため、私の提案が実行に移されることはまず無いだろう。そのことはまた、イノベーターのインセンティブにも予め影響を与えてしまう。