10/1に世界の肥満化を警告するOECDレポートに関するEconomix記事を紹介したが、今度は肥満が米軍に与える悪影響についてのNBER論文がWSJブログで取り上げられた。
その論文「Unfit for Service: The Implications of Rising Obesity for U.S. Military Recruitment」の著者はコーネル大学の2人の経済学者(John CawleyとJohanna Catherine Maclean)で、6月に開催されたAmerican Society of Health Economistsの大会HPではポスターセッションでのプレゼンの概要が読める。
WSJブログによる内容紹介は以下の通り。
- 2007-2008年において、入隊適格年齢層のうち、570万人の男性(約12%)と1650万人の女性(約35%)が、身長体重比と体脂肪率に関する米国陸軍の入隊基準を超過していた。この比率は1959-1962年に比べると男性は倍以上、女性は3倍以上になっている。
- 海外で戦闘活動を行っている最中に質の高い要員を集めることが困難になりつつあるという最近の状況に鑑みると、この肥満の増加は米軍に取って深刻な問題である。もし戦時の必要に迫られて徴兵制に戻るならば、この問題はより一層深刻なものとなるだろう。
- 最も単純な解決策は入隊基準を緩和することだが、軍隊という職場においては、体重や体脂肪の高い数値は仕事のパフォーマンスの悪化に直結する。また、欠勤や医療費という形で軍隊に何十億ドルものコストを課すことになる。
なお、このWSJブログ記事は「Too Fat to Fight」と題されている。記事では触れられていないが、同じタイトルのレポートが今年の4月に退役した将校のグループから出されている。そちらのレポートはそれなりに話題になったらしく、ヘラルドサン、トリビューン、CNN、USAトゥデイ、WaPoなどで報道されている。また、それに関するNPRの記事を紹介した日本語ブログもある。そのレポートで元将校たちは、肥満の原因を根元から断つために学校からジャンクフードを追放するよう議会に訴えている。