少し前にマンキューが自ブログでケイシー・マリガン(Casey Mulligan)シカゴ大教授のEconomix記事を紹介し、雇用の需要制約というケインズ経済学の見方に挑戦する重要な証拠、として持ち上げた。
マリガンが提示したグラフ(下図)によると、20代前半の雇用に比べ10代の雇用が夏季に増加する、という現象が見られるが、それは彼らの労働力が夏休みによって利用可能になる、という供給要因によるものである。然るに、雇用において需要制約が効いているならば、こうしたことは起きないはずではないか、というのがマリガン/マンキューの見方である。
これに対し、Tim Duyが猛反発した。Duyは、需要には季節性があるのは昔から良く知られた極めて定型的な事実であり、そのことはたとえば下図の小売売上高のデータに表れている、と言う。
そして、雇用もその需要の季節性に従う。下図のように、たとえ不況期であっても、季節性は維持される。その夏季における雇用増加の幾分かは、10代の労働力によって賄われるのだ、とDuyは指摘する。
その上でDuyは、マリガンとマンキューは、自分たちが季節調整されていないデータの扱い方を理解していないこと、のみならず、経済における季節性というものをまるで理解していないことを図らずも暴露した、と厳しく批判してエントリを締めくくっている。