事後の保険料としての銀行課税

ダイアモンドとカシャップが1/20NYT論説で提案した銀行課税の方法が話題を集めている(Economist's ViewマンキューブログFree Exchange)。
「我々の投資を取り戻す(Return Our Investment)」と題されたその論説で、彼らは、政府による救済を受けた銀行を対象に、銀行のバランスシートにおける以下の図の斜線部分への課税を提案している。

すなわち、2008年8月末時点の資産と、現時点の自己資本の差額に課税することを提案している。この税金は、彼らに言わせれば、救済の保険料の事後徴収という意味合いを持つという。
ただ、そうするとFDICへの預金保険料との二重徴収ではないか、という銀行側からのクレームが予想されるので、今年度のFDICへの預金保険料を控除対象にすることも併せて提案している。


ここで2008年8月末時点の資産を基準にすることには、以下のようなメリットがあるという。

  • 救済規模が大きかった銀行ほど支払う税金も多くなる。
  • 過去の資産なので、今から資産圧縮して税金を減らそうとしても不可能。
  • 当時SPVのような仕組みを使って本体資産に乗せずに行なっていた取引も今や明るみに出ているので、その点についても誤魔化しが効かない。

また、現時点の自己資本との差額を取ることにより、自己資本を増強した銀行の税率を低めると同時に、さらなる自己資本充実のインセンティブをもたらすことができる、とのことである。


ちなみに、オバマ政権は、今後10年の銀行課税で900億ドルを徴収する予定との由。これにより、TARPの1170億ドルの損失のかなりの部分をカバーできる、という。