エンドレス・サマーズ

という記事が1ヶ月ほど前にヴァニティ・フェア掲載されたマンキューブログ経由)。内容的には以前紹介したニューヨーカーのサマーズ紹介記事と似ているが、よりサマーズの私生活や人間性に焦点を当てた記事となっている。サマーズの人となりを知るにはニューヨーカー記事よりは良い材料と思われるが、ただ、サマーズの離婚の経緯や今の奥さんとの馴れ初めについてもっと詳しく知りたいと思う日本人もあまりいないだろうと思って、特にこれまで拙ブログでは取り上げてこなかった。
しかし、Economists for Firing Larry Summersの11/24エントリを読んで、12/1エントリで取り上げた問題と関連する記述が同記事にあったことに気付いた。以下が該当箇所の拙訳。

それに、(大学基金の投資に責任を持つ)ハーバード・マネージメント・カンパニーの元デリバティブスペシャリストであり、応用数学のハーバード博士号を取得した2番目の黒人女性であるアイリス・マックによる裏切りの申し立てもある。マックは、エンロンに勤めた後、2002年初めにハーバード・マネージメントで働き始めたが、まもなく、自分たちの投資している高リスクの派生商品への理解を同僚が欠いていることに不安を感じるようになったという。(彼女が正しかったことは、昨年度に基金が27.3%も下落したことで証明された。) 2002年5月12日、彼女はサマーズにeメールを送り、自分の懸念を伝えた。「ハーバードに誇りを持つ卒業生として、ハーバード・マネージメント・カンパニーでこれまで見聞きしたこと、および母校の基金で今後起きるかもしれないことについて、大いなる不安と驚愕の念を感じています。また、同窓の卒業生たちが、どのように基金が運営されているか、および、幾人かのポートフォリオ・マネージャーの力量を知ったら、もう一銭も基金に寄付しないだろうと強く信ずるものです。」


彼女はサマーズに面会を申し込み、彼が2人の間のやり取りを秘密にしておくことを要望した。「特に何人かがそうした問題に懸念を表明した後に契約終了となったということがあったので。」 9日後、マックはサマーズのハーバードでの主席補佐官(現在は彼の国家経済会議での主席補佐官)であるマルヌ・レビンからeメールを受け取った。その中でレビンはマックに彼女と連絡を取るよう指示すると共に、最初のeメールが「秘密にされている」ことを保証した。


しかし、秘密は長く保たれなかった。1ヵ月後、彼女は当時のハーバード・マネージメント・カンパニーのトップであるジャック・メイヤーから呼び出されたが、彼は彼女とサマーズおよびレビンとのやり取りのコピーを持っていた。メイヤーは翌日彼女を解雇した。その後、彼女はハーバードと内々に和解したが、和解の内容については口を閉ざしている。ただ、彼女はある点についてははっきりしている。「私の離職にサマーズが関与している可能性は99.9999999999999999%だと言っていいでしょう」と彼女は私(=記者)へのeメールで述べた。(サマーズは、彼は彼女の解雇にまったく関係していないし、そもそも彼女は彼の配下でないのでそれは不可能だった、と返答した。「[マックの]申し立ては内部および外部の徹底した調査の対象となったが、意味がなかったという結論に達している」とハーバードのスポークスマンは言う。)


なお、ぐぐってみると、 TPM記事Huffington Post経由)、ボストングローブ記事など、この件に関する記事は他にも見られ、それなりに話題になった事件のようだ。