金融危機の5つの教訓

WSJブログにそう題されたエントリが上がっていた。出所は、アルゼンチン中銀で開かれた会議でのモルガン・スタンレーのリチャード・バーナー(Richard Berner)氏のプレゼン資料を、顧客向けメモで補足したもの。以下がその5つの教訓。

  1. 強靭で良く規制された金融システムは、金融ショックの第一の防衛線
    • 経済の自由市場志向を強めるほど、金融機関や市場に対する公的な監視監督が必要になる。
    • というのは、競争はイノベーションを生むが、同時に不安定さももたらすため。
       
  2. 積極的で粘り強い政策対応は第二の防衛線
    • 日本の失われた10年により、バランスシートの正常化、景気低迷からの脱出、デフレ防止には、粘り強い政策サポートが必要だということを我々は学んだ。
    • 市場参加者にとって、政策がどれだけ粘り強く継続するか理解することが重要。彼らは、中央銀行が、金融緩和終了と、出口戦略ないし金融引き締め開始を明確に区別することを望んでいる(前者は現在進行中で後者はまだ先の話)。
       
  3. マクロ的な金融安定化と資産価格は金融政策でより大きな役割を果たすべき
    • システミックリスクを世界的に注視すべき、という点では概ね合意が形成されている。
    • しかしそれをどのように定義し、実施していくか、についての合意はまだ取れていない。
       
  4. 変動為替相場は金融政策がショックに反応する能力を高める
     
  5. グローバル・インバランスは、各国内のインバランスを促進し、危機発生の一因となった
    • 今の問題は、そのインバランスの是正過程が問題なく進むか、それとも混乱を生じさせるか、である。
    • 現在の米国の政策は、インバランスをむしろ増加させる方向に進んでいる一方、為替による調整に制約を掛けている国もいるので、後者の恐れがある。