クルーグマンへの公開書簡・続き

昨日のエントリで取り上げたサムナーのクルーグマンへの公開書簡には、クルーグマンから反応があった(ということをコメント欄で教えてもらった)。ただ、その返事があまりに素っ気無かったので、そのエントリに、さすがにそれはないんじゃない?とクルーグマンを批判するコメントが付いている。以下にいくつかピックアップしてみる。
Mr. Winston:「quick responseというよりpoor response。ちゃんと読んだ?」
Jeremy Goodridge:「クルーグマンがトービンについて評価するように'nice'であることの価値を示す反面教師」
DJD:「うわ、元の書簡の9割を無視した嫌な返事だ。クルーグマンが返事することを期待していたけど、するんじゃなかった」


タイラー・コーエンもクルーグマンが肝心なところに答えていない、と書いている。サムナー自身もクルーグマンへの返事を書いたが、戸惑いを隠せないようだ。


ちなみに、これらのエントリはryozo18さんが訳されている(クルーグマンの返事コーエンの批判サムナーの返事)。


余談だが、サムナーの返事エントリのコメント欄では、"travis"氏がクルーグマンの以前の 論説を引いて、クルーグマンは考えを変えたのか、と訝しんでいる。

It would be interesting for him to explain why he thinks that his recommendations to Japanese central bankers 10 years ago don’t apply now. He was the one who wanted a credible commitment by central bankers to an inflation rate. I wonder why he has changed his mind.

これは、基本的に小生がここここで書いた疑問と同じである。


なお、クルーグマンは、その次のエントリで、FRBがもっと積極的に金融緩和をしていれば大恐慌を防げた、と主張したフリードマンとシュワルツ(およびそれを受け入れて謝罪したバーナンキ)は誤っていた、と断じている。FRBの現在の積極的緩和にも関わらず、世界は崖を転がり落ちているではないか、というのがその理由である(90年代の日本の経験で既に金融政策の限界は示されていたのに、その教訓が活かされなかった、とも書いている)。そして、大恐慌を防ぐのは我々が教わったよりは困難であることが判明した、と書いている。あるいはこちらのエントリの方がサムナーへの直接的な回答になっているのかもしれない。