金は天下の回りもの・続き

昨日のエントリに対し、解釈に迷ったというコメントが付いたので、参考までにデロングの話を会計風にまとめてみた(それほど仕訳に精通しているわけではないので、あくまでも会計「風」ということでご勘弁)。

シナリオ1

当初
アリス    
ビバリー 現金$500 キャロルへの借金$500
キャロル ビバリーへの債権$500  
 
2ヶ月後
アリス    
ビバリー    
キャロル 現金$500  

シナリオ2

当初
アリス    
ビバリー 現金$500 キャロルへの借金$500
キャロル ビバリーへの債権$500  
 
第2段階 アリスとビバリーが契約
アリス ビバリーへの売掛金$500 (労働力提供)
ビバリー 現金$500 キャロルへの借金$500
  テラス アリスへの買掛金$500
キャロル ビバリーへの債権$500  
 
第3段階 アリスとキャロルが契約
アリス ビバリーへの売掛金$500 (労働力提供)
  食事 キャロルへの買掛金$500
ビバリー 現金$500 キャロルへの借金$500
  テラス アリスへの買掛金$500
キャロル ビバリーへの債権$500  
  アリスへの売掛金$500 (労働力提供)
 
第4段階 ビバリーとキャロルが清算
アリス ビバリーへの売掛金$500 (労働力提供)
  食事 キャロルへの買掛金$500
ビバリー 現金$500 キャロルへの借金$500
  テラス アリスへの買掛金$500
キャロル ビバリーへの債権$500  
  アリスへの売掛金$500 (労働力提供)
 
第5段階 アリスとビバリー清算
アリス 現金$500  
  食事 キャロルへの買掛金$500
ビバリー テラス キャロルへの借金$500
キャロル ビバリーへの債権$500  
  アリスへの売掛金$500 (労働力提供)
 
第6段階 アリスとキャロルが清算
アリス    
ビバリー テラス キャロルへの借金$500
キャロル ビバリーへの債権$500  
  現金$500  


シナリオ2の第3段階と第4段階は変化は無い。これは、担保を設定して借金を継続するということで、ビバリーとキャロルの貸借関係自体に変化は無いため。


シナリオ1とシナリオ2の最終段階同士を比較すると、シナリオ2ではシナリオ1の借金の返済というマネーの動きに加えて、ビバリーがキャロルから借金をしてテラスを作った格好になっている。つまり、シナリオ1ではビバリーが当初持っていた500ドルは何も生み出さなかったのに対し、シナリオ2ではその500ドルが“働いて”、テラスを生み出したわけだ。もちろん、それは最終段階の目に見える資産の話で、その過程ではさらに(今はアリスの胃袋に収まっている)食事を生み出しているので、期間通算では計1000ドルの生産が行なわれたことになる。
また、生産=分配=支出という三面等価の原則も当然ながら成り立っており、アリスの収入500ドル+キャロルの収入500ドル=1000ドル、アリスの(食事への)支出500ドル+ビバリーの(テラスへの)支出=1000ドル、となっている。