岩本康志氏の「挑戦状」

昨日レベッカワイルダー氏の少し過激な内容のエントリを紹介し、ついでに岩本康志氏のエントリを紹介した。それに対し、多くのはてブ*1を頂いたが、ワイルダー氏の意見に賛成する人が多かった一方、与謝野氏の発言がそんなに悪いのか、と反発する人もいた。


正直言って、小生も勉強不足で、ワイルダー氏の批判が正当なものなのか行き過ぎなのか――言い換えれば、今の日本はどの程度の財政刺激策を必要としているのか、あるいはしていないのか――判断が付いていない。
(ただ、田谷禎三氏の発言――欧米に対し「あなたとは違うんです。我々はそこまで馬鹿でないし、自暴自棄にもなっていない」と言ってのけた――が、もし記事の通りなら、それは問題だろう、とは思う。ワイルダー氏もおそらくこの発言にカチンと来てあのエントリを立てたと思われる。もし彼女がその発言を与謝野氏のものだと誤認しなければ、エントリの内容も違っていたか、あるいはそもそも立てなかったかもしれない。)


その財政刺激策の必要性の問題について、岩本康志氏は、今日のエントリで、財政再建派の論理を定量的に丁寧に説明されている。2010年第一四半期に予想されるGDPギャップが、日本では1%程度とそれほど大きくないことから、現時点での財政出動の必要が無いこと、ギャップが2%を超えれば出動する必要が出てこようが、その可能性は高いとは思えないこと、を主張されている。


岩本氏がその中で述べているように、「財政出動の考えは人によって違う」ので、氏の結論には異論もあろう。たとえばGDPギャップはどの時点を均衡と見做して比較するかによって結果がぶれるので、1%という数字は甘すぎる、という見方もできよう。実際、統一した分析手法が確立していないからこそ、これまで本ブログで見てきたように、米国の一流経済学者の間でもあれほど意見や数字が分かれているわけだ。


岩本氏は最後に、

大規模な財政出動が必要だと主張する人は,予測の専門家たちの見解を覆す根拠を示すことが必要だ。

と「挑戦状」を叩きつけている。誰か受けて立つ人はいないだろうか?

*1:本ブログとしては過去最高。