2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

長期および短期のパンデミックの最適管理

というNBER論文が上がっている。原題は「Optimal Management of a Pandemic in the Short Run and the Long Run」で、著者はAndrew B. Abel(ペンシルベニア大)、Stavros Panageas(UCLA)。 以下はその要旨。 Social policy to limit interactions can slo…

米国版雇用調整助成金は高くつく?

マンキューが少し前のブログエントリで、2つの論文を基に、米議会が約5000億ドルを支出した給与保護プログラム(Paycheck Protection Program=PPP)に否定的な評価を下している。 まず彼は、Chetty et al.の論文から以下の一節を引用している。 We therefor…

ベーカー仮説

というNBER論文が上がっている。原題は「The Baker Hypothesis」で、著者はAnusha Chari(ノースカロライナ大学チャペルヒル校)、Peter Blair Henry(NYU)、Hector Reyes(同)。 以下はその要旨。 In 1985, James A. Baker III's “Program for Sustained …

誰がトランプに投票したのか? ポピュリズムと社会資本

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「 Who Voted for Trump? Populism and Social Capital」で、著者はPaola Giuliano(UCLA)、Romain Wacziarg(同)。 以下はungated版の結論部。 We document a robust negative relationship between so…

政治的不確実性下での長期の財産権の評価

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンク)。原題は「Valuation of Long-Term Property Rights under Political Uncertainty」で、著者はZhiguo He(シカゴ大)、Maggie Rong Hu(香港中文大)、Zhenping Wang(シカゴ大)、Vincent Yao(ジョー…

財政刺激策の効果:COVID-19による実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「The Effect of Fiscal Stimulus: Evidence from COVID-19」で、著者はMiguel Garza Casado(ペンシルベニア大)、Britta Glennon(同)、Julia Lane(NYU)、David McQuown(シカゴ大)、Daniel Rich(イリノイ州立大…

COVID-19に関する4つの定型化された事実

というNBER論文が上がっている。原題は「Four Stylized Facts about COVID-19」で、著者はここで紹介したNBER論文の著者と同じトリオであるAndrew Atkeson(UCLA)、Karen Kopecky(アトランタ連銀)、Tao Zha(エモリー大)。 以下はその要旨。 We document…

時間差のある価格連動

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Staggered Price Indexation」で、著者はコロンビア大のMartin Uribe。 以下はその要旨。 Empirical studies using micro data find that about two thirds of all product prices do not change in a g…

ドイツのターゲットシステム批判と中銀資本の役割の理解

というNBER論文が上がっている(ungated版が掲載されている著者のページ)。原題は「Understanding the German Criticism of the Target System and the Role of Central Bank capital」で、著者はボッコーニ大のRoberto Perotti。 以下はその要旨。 Critici…

失われたインフレのパズル:賃金-物価パススルーの役割

というNBER論文が上がっている。原題は「The Missing Inflation Puzzle: The Role of the Wage-Price Pass-Through」で、著者はSebastian Heise(NY連銀)、Fatih Karahan(同)、Ayşegül Şahin(テキサス大オースティン校)。 以下はその要旨。 Price infla…

貿易フローと財政乗数

というNBER論文が上がっている(コロナ禍でキャンセルされた3月のセミナーに投稿された昨年4月時点のWP)。原題は「Trade Flows and Fiscal Multipliers」で、著者はMatteo Cacciatore(モントリオール商科大*1)、Nora Traum(同)。 以下はその要旨。 We p…

信頼感と需要ショックの伝播

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Confidence and the Propagation of Demand Shocks」で、著者はGeorge-Marios Angeletos(MIT)、Chen Lian(UCバークレー)。 以下はその要旨。 We revisit the question of why shifts in aggregate d…

進歩の罠

についてアセモグルが「Minding the Perils of Progress」と題したProject Syndicate論説で論じている(H/T Mostly Economics)。以下はその一節。 The improvements of the past 200 years are the fruits of industrialization, made possible by our acqu…

インドの低いCovid-19の致死率を読み解く

というNBER論文が上がっている。原題は「Decoding India's Low Covid-19 Case Fatality rate」で、著者はMinu Philip(NYU)、Debraj Ray(同)、S. Subramanian(独立研究者)。 以下はその要旨。 India’s case fatality rate (CFR) under covid-19 is stri…

ピークに達する中国の住宅

というNBER論文をケネス・ロゴフらが上げている。原題は「Peak China Housing」で、著者はKenneth S. Rogoff(ハーバード大)、Yuanchen Yang(清華大)。 以下はその要旨。 China’s real estate has been a key engine of its sustained economic expansion…

北欧でスウェーデンのCovid死亡率が高い16の理由候補

というSSRN論文にタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「16 Possible Factors for Sweden’s High Covid Death Rate among the Nordics」で、著者はDaniel B. Klein(ジョージ・メイソン大)、Joakim Book(独立研究者)、Christian Bjørnskov(オーフ…

独裁者の2つのジレンマ

というProject Syndicate論説をMostly Economicsが紹介している。原題は「The Dictator’s Two Dilemmas」で、著者はコロンビア大のAndrew J. Nathan。 以下はその冒頭。 Authoritarian regimes often enjoy more public support than democratic governments…

関税はどの程度為替相場で相殺されるか?

というNBER論文が上がっている(ungated(PIIE)版*1)。原題は「To What Extent Are Tariffs Offset By Exchange Rates?」で、著者はOlivier Jeanne(ジョンズ・ホプキンス大)、Jeongwon Son(同)。 以下はその要旨。 In theory, we should expect tariff…

中央銀行と金融安定:Covid-19発生後の一つの考え

というBIS論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Central banks and financial stability: A reflection after the Covid-19 outbreak」で、著者は同行の金融安定研究所 (Financial Stability Institute)議長のFernando Restoy。 以下はその要旨…

州のCOVID-19閉鎖政策が非COVID-19医療利用に与えた影響

というNBER論文が上がっている。原題は「Effects of State COVID-19 Closure Policy on NON-COVID-19 Health Care Utilization」で、著者はEngy Ziedan(テュレーン大)、Kosali I. Simon(インディアナ大)、Coady Wing(同)。 以下はその要旨。 The U.S. …

規制緩和からの学習:COVID-19におけるリスクのある行動に与えるロックダウンと再開の非対称的な影響

というNBER論文をエドワード・グレイザーらが上げている。原題は「Learning from Deregulation: The Asymmetric Impact of Lockdown and Reopening on Risky Behavior During COVID-19」で、著者はEdward L. Glaeser(ハーバード大)、Ginger Zhe Jin(メリ…

熱帯におけるランダム化再訪:主旋律と11の変奏曲

というNBER論文をアンガス・ディートンが上げている。原題は「Randomization in the Tropics Revisited: a Theme and Eleven Variations」で、Revisitedとなっているのは、元論文としてこちらのおよそ10年前の自著論文「Instruments of development: Randomi…

駆虫の20年の経済的効果

というNBER論文が上がっている。原題は「Twenty Year Economic Impacts of Deworming」で、著者はJoan Hamory(オクラホマ大)、Edward Miguel(UCバークレー)、Michael W. Walker(同)、Michael Kremer(ハーバード大)、Sarah J. Baird(ジョージ・ワシ…

人工ニューラルネットワークを使った金融政策の予測

というドイツ連銀論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Predicting Monetary Policy Using Artificial Neural Networks」で、著者は同銀のNatascha Hinterlang。 以下はその要旨。 This paper analyses the forecasting performance of monetary p…

経済を振り回す尾っぽ:考え方と持続的な不況

というJournal of Political Economy掲載論文をタイラー・コーエンが紹介している。原題は「The Tail That Wags the Economy: Beliefs and Persistent Stagnation」で、著者はJulian Kozlowski(セントルイス連銀)、Laura Veldkamp(コロンビア大)、Venky …

ロックダウンなしのCOVID-19予防と大気汚染

というNBER論文が上がっている。原題は「COVID-19 Prevention and Air Pollution in the Absence of a Lockdown」で、著者はHung-Hao Chang(国立台湾大)、Chad Meyerhoefer(リーハイ大)、Feng-An Yang(国立台湾大)。 以下はその要旨。 Recent studies …

インフラ投資のマクロ経済的帰結

というNBER論文が上がっている(6/24版)。原題は「The Macroeconomic Consequences of Infrastructure Investment」で、著者はValerie A. Ramey(UCサンディエゴ)。 以下はその要旨。 Can greater investment in infrastructure raise U.S. long-run outpu…

介護施設職員のネットワークとCOVID-19

MRブログでアレックス・タバロックが、今年の最良かつ最重要論文の一つ、として表題のNBER論文を紹介している。原題は「Nursing Home Staff Networks and COVID-19」で、著者はM. Keith Chen(UCLA)、Judith A. Chevalier(イェール大)、Elisa F. Long(UC…

R^=1の経済的帰結:機能するパンデミックの行動疫学モデルに向けて

というNBER論文をdigitopolyブログなどで知られるJoshua Gans(トロント大)が上げている(SSRN版)。原題は「The Economic Consequences of R̂ = 1: Towards a Workable Behavioural Epidemiological Model of Pandemics」。 以下はその要旨。 This paper r…

商品超循環は重要か?

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Does the Commodity Super Cycle Matter?」で、著者はAndrés Fernández(チリ中銀)、Stephanie Schmitt-Grohé(コロンビア大)、Martín Uribe(同)。 以下はその要旨。 This paper investigates empir…