2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

中国人と日本人が貯蓄し過ぎて世界の自然利子率が低下した

という主旨の論文をVipin Arora(米エネルギー情報局)、Rod Tyers(西オーストラリア大)、Ying Zhang(同)が書いている。論文のタイトルは「Reconstructing the Savings Glut: The Global Implications of Asian Excess Saving」。 以下はその要旨。 East…

摩天楼の高さと景気循環:神話と現実の分離

という論文をラトガース大学のJason Barr、Bruce Mizrach、Kusum Mundraが書いている(マンキューブログ経由のFree Exchange経由)。原題は「Skyscraper Height and the Business Cycle: Separating Myth from Reality」。 以下はその要旨。 This paper is t…

クルーグマンが真のケインジアンではない理由

昨日紹介したLevineやWilliamsonの議論ではクルーグマンをケインジアンとして断罪していたが、スウェーデンの経済学者Lars Syllが表題のブログエントリを書き、クルーグマンを真のケインジアンではないとして断罪している(原題は「Why Paul Krugman is no r…

ケインズ経済学の幻想

David Levineがケインズ経済学を批判するエッセイを書き、デロング(cf. それへのクルーグマンの反応*1)、クルーグマン(cf. それへのデロングの反応)、Mark Thoma、Nick Roweの反発ないし反論を招いた。一方、ジョン・コクランが同エッセイを好意的に紹介…

目標制御と時間的不整合:ティンバーゲンの法則の補完

と題された論文をHuiping Yuan(厦門大学)とStephen M. Miller(ネバダ大学ラスベガス校、コネチカット大学)が書いている。原題は「Target Controllability and Time Consistency:Complement to the Tinbergen Rule」。 以下はその要旨。 The Tinbergen Ru…

制約された裁量とルール

ルールベースの金融政策を追い求める中でクルーグマンやイエレンやサマーズの発言に噛みついてきたジョン・テイラーが、今度はバーナンキの発言を槍玉に挙げた。 それによるとバーナンキは、FRBは既にルールを導入している、とブルッキングス研究所で述べて…

フェルプスの描く経済学の未来

Economist's Viewが紹介したインタビューで、エドムンド・フェルプスが経済学の学問としての将来について訊かれて、以下のように答えている。 Economics is in a tremendous crisis... especially since it doesn't know it's in a crisis. .... People who …

ATMの普及と銀行の窓口係の仕事の変化

ボストン大学のJames Bessenが、IMFのFinance and Developmentで、自動化の進展と雇用の関係について考察している(H/T Tim Taylor)。そこで彼は、ATMが普及したにも関わらず銀行の窓口係の職員数が増加した例を引き、自動化が必ずしも失業につながるとは限…

ルールの無い中銀はチェックリストの無い医者のようなもの

ルールベースの金融政策を主唱するジョン・テイラーが、年初の全米経済学会や1週間前のスタンフォードでのコンファレンスでローレンス・サマーズとの意見との違いが露わになった、と表題のブログ記事で報告している(原題は「Central Banks Without Rules Ar…

CPIとPCEの違い

HicksianさんがRTされたMiles Kimballのツイートで、WSJコラムニストのJo Craven McGintyが書いた3/20付けNUMBERS記事が「The best explanation I have ever seen of why PCE (Personal Consumption Expenditure Price Index) is better than CPI」として紹…

リクスバンク副総裁ヤンソンはまたもや弁解の余地がないものを弁護している

スウェーデン中央銀行(リクスバンク)のペール・ヤンソン副総裁がクルーグマンを勉強不足と批判したブルームバーグ記事が3/15に出た(日本語版)が、それに対して、クルーグマンになり代わってスヴェンソンが表題のブログ記事で反論している(原題は「Riksb…

ジンバブエターナー?

かねてから財政ファイナンス政策を提唱している*1アデア・ターナーが、日本は事実上それを既に行っている、という趣旨のProject Syndicate論説を書いている(H/T Jonathan Soble・NYT東京駐在記者のツイート[3/23追記:BaatarismさんのRT経由])。 以下は…

もう一組のR&R

としてクルーグマンがクリスティーナ&デビッド・ローマー夫妻のNBER論文「New Evidence on the Impact of Financial Crises in Advanced Countries」を紹介している*1。以下は論文の要旨。 This paper examines the aftermath of financial crises in advan…

アダム・スミス、懐中時計の価格、および産業革命

という面白い論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Adam Smith, Watch Prices, and the Industrial Revolution」で、著者はユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのMorgan KellyとCormac O'Grada。 以下はその要旨。 Although largely absent from m…

TIBORに待望される政策介入

以前LIBORの不正操作問題を扱ったダレル・ダフィー(Darrell Duffie、スタンフォード大)の共著論文を紹介したことがあったが、ダフィーによる同じテーマの別の論文をジョン・コクランが紹介している。こちらの論文はジェレミー・スタイン(Jeremy C. Stein…

フリードマン在りせばどのFRB規制法案を支持したか?

引き続きテイラーブログの政策ルール法案ネタ。 ジョンズ・ホプキンス大学のSteve Hankeが、フリードマン在りせばポール・ライアンのFRB監査法案を支持しただろう、とケイトー研究所のブログに書いたのを受けて、テイラーが、いや、彼は政策ルール法案の方を…

議員さんたちがFRBに丸め込まれないためには政策ルールが必要

という趣旨の証言をアラン・メルツァー*1が上院の銀行委員会で行った、とジョン・テイラーがブログで報告している。そこでメルツァーは、政策ルール法案の方が、FRB監査法案など他の法案より優れていることを強調したという。 以下はテイラーが引用するメル…

タカ派とハト派の区別は現代のFRBでも意味を持つのか?

FRBの金融政策におけるタカ派とハト派の位置づけを概観した記事がリッチモンド連銀の季刊誌「Econ Focus」に掲載されている(H/T Mostly Economics)。記事のタイトルは「Birds of a Feather / Does the hawk-dove distinction still matter in the modern F…

地域ベースの政策は効果があるか?

というSF連銀エコノミックレターを同連銀のvisiting scholarであるUCアーバインのDavid Neumarkと、ブリストル大のHelen Simpsonが書いている(原題は「Do Place-Based Policies Matter?」;H/T Mostly Economics)*1。 以下はその冒頭部。 Place-based poli…

量的緩和のシグナリング効果

「Time Consistency and the Duration of Government Debt: A Signalling Theory of Quantitative Easing」という論文をエガートソンらが書いている。著者はSaroj Bhattarai(ペンシルベニア州立大)、Gauti B. Eggertsson(ブラウン大)、Bulat Gafarov(ペ…

FRBの非伝統的金融政策のマクロ経済的効果

という論文がFRBのディスカッションペーパーシリーズから出ている。原題は「The Macroeconomic Effects of the Federal Reserve’s Unconventional Monetary Policies」で、著者はEric M. Engen、Thomas T. Laubach、David Reifschneider。 以下はその要旨。 …

独裁者との闘い

昨日紹介したテンダイ・ビティの回想エッセイでは、「Working with the Enemy」と題した節で、宿敵と仕事をする様子が描かれている。 If I was to get anything done, I had to work with all sides. Fighting for democracy, MDC supporters had suffered g…

ハイパーインフレとの闘い

ハイパーインフレと言えば最近はジンバブエが良く例に出されるが、そのジンバブエで財務相として経済の立て直しに邁進したテンダイ・ビティ(Tendai Biti)が、Center for Global Developmentのサイトに回想エッセイを執筆している(H/T Mostly Economics*1…

イエレンの食言?

引き続きテイラーブログねた。2/24、2/26エントリで彼は、金融政策ルールの法制化に抗するイエレンを槍玉に挙げている。 2/24エントリでテイラーは、C-SPANから以下のやり取りを引用している。 SENATOR SHELBY: YOU HAVE OPINED ON THE USE OF MONETARY POLI…

陰謀論ではなく効果の問題

昨日に続き、テイラーのクルーグマンへの反論エントリを紹介してみる。 表題の2/13エントリ(原題は「It’s Not About Conspiracy Theorizing, It’s About Effectiveness」)でテイラーは、2010年にテイラーとポール・ライアンが書いた論説*1を槍玉に挙げたク…

ポール・クルーグマンが政策ルールについて御託を並べている

少し前に、テイラールールの法制化に反対する議論を紹介したが、そのうちのクルーグマンの1/31エントリにテイラーが反応し、表題のエントリ(原題は「Paul Krugman Pontificating on Policy Rules」)で概ね以下のようなことを述べている。 クルーグマンは、…

加盟国の金融が不揃いな通貨同盟における最適な金融政策と財政政策の組み合わせ

という論文をカッセル大学のJakob Palekが書いている。原題は「The Optimal Monetary and Fiscal Policy Mix in a Financially Heterogeneous Monetary Union」。 以下はその結論部。 This paper investigates the joint conduct of optimal monetary and fi…

サマーズ「ロボットは中産階級の労働者を傷付け、教育は問題解決にならない」

少し前に、機械によって雇用は喪失していないという趣旨の発言をサマーズがハミルトン・プロジェクトのセミナーでした、というマイク・コンツァルのブログエントリを紹介した。WaPoのWonkblogのJim Tankersleyが、その件についてのサマーズの真意を確かめる…

FRBの地区連銀は違憲?

という挑発的な見解をPeter Conti-Brown(スタンフォード大/ペンシルベニア大)が「The twelve Federal Reserve banks: Governance and accountability in the 21st century」と題したブルッキングス研究所のワーキングペーパーで投げ掛けている(H/T WSJブ…

最適通貨圏と米国の州間の景気循環の同期

以前、ウェーブレットでテイラールールを分析した論文を紹介したことがあったが、その著者たちのうちのミンホ大学の2人が、またウェーブレットを使って別の2人と共著で地域同士の景気循環の相似性を調べた表題の論文を書いている。原題は「Optimum Currency …