2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

起業家精神と社会主義の遺産

の関係について調べた論文をEconomic Logicが紹介している。 以下はその要旨。 The 40 years of socialist regime in East Germany were characterized by a massive anti-entrepreneurship policy. We investigate the reemergence of entrepreneurship in …

年金と貯蓄が完全な代替とならない理由

について分析した論文をEconomic Logicが紹介している。 以下はその要旨。 An extended life cycle model is used to investigate how variation in the level of expected pensions influences non-pension wealth accumulation. We try to explain why the…

インドは超大国になるのか?

昨日のエントリで取り上げたインドの歴史家Ramachandra Guhaが、この論文でそう問い掛けている(Mostly Economics経由)。以下はその冒頭部。 More than sixty years ago, in the summer of 1948, the Indian nation, then newly-born, was struggling for i…

人類史上最も無謀な政治的実験

インドの歴史家Ramchandra GuhaがThe New Republicの書評記事で自国のことをそう評している(Mostly Economics経由の Chris Blattman経由)。 THE REPUBLIC OF INDIA is the most reckless political experiment in human history. Never before was a singl…

マルハナバチとしてのユーロ

26日にドラギECB総裁がユーロ安定のために何でもする、と発言して市場に波紋を広げたが、その中でユーロをバンブルビーに喩えている(Mostly Economics経由)。最初はトランスフォーマーの頼れる仲間にユーロを喩えるとはなかなか洒落た発言だな、と思ったが…

ウォルマートは不動産価値を上げる

という論文がUDADISIで紹介されていた。著者はDevin G. PopeとJaren C. Pope(この記事やこの記事によると兄弟との由)。 以下はその要旨。 Walmart often faces strong local opposition when trying to build a new store. Opponents often claim that Wal…

オリンピック招致合戦なんかいらない

という趣旨の論文(正確には以下の本の第4章)を今月初めにEconomic Logicが紹介していた。International Handbook on the Economics of Mega Sporting Events (International Library of Critical Writings in Economics)作者: Wolfgang Maennig,Andrew Zim…

政策委員の大勢見通しなんかいらない

FRBの経済見通しの発表のあり方について論じた論文をEconomic Logicが紹介しているが、その趣旨を端的に日銀に当てはめれば表題の通りとなる。 以下はその導入部からの引用。 In January 2012 the Fed began reporting ranges of its economic forecasts alo…

この支出からの卒業・続き

1年前、成熟度が上がるにつれ財政支出が景気循環的から反景気循環的に転じる、というジェフリー・フランケルらの研究を紹介したが、そのフランケルが、Project Syndicate論説で、今やその点について先進国と新興国の立場が逆転してしまった、と嘆いている。 …

Retreat, Hell! EU!

とバリー・アイケングリーンがProject Syndicateに書いている(Mostly Economics経由)*1。 Europe’s leaders now agree on a vision of what the EU should become: an economic and monetary union complemented by a banking union, a fiscal union, and …

銀行危機解決に当たっての先進国経済の呪い

と題したvoxeu記事をIMFの2人の研究者(Luc Laeven、Fabian Valencia)が書いている(Mostly Economics経由;原題は「The curse of advanced economies in resolving banking crises」)。 彼らは2008年に銀行危機に関するデータをまとめており、今回の金融…

頑健標準誤差は万能薬ならず

とAngusが書いている(Economist's View経由)。 There are a lot of things that drive me crazy about the current practice of econometrics. People who think over-identification tests validate their indentifying*1 assumptions. People who think …

ザ・シークレット・サービス

今週紹介してきたアスムッセン講演は、以下の言葉から始まっている。 It has been said that “there have been three great inventions since the beginning of time: fire, the wheel, and central banking [1] ”. Central banking has become my business …

23の瞳

今日も引き続きアスムッセン講演ネタ。 昨日紹介したように、アスムッセン講演は3つのテーマを掲げていたが、そのうちの一つは市場とのコミュニケーションと政治的コミュニケーションの対比であった。これについて彼は次のエピソードを引用している。 ...Mes…

アラン、ウィム、あんたの時代はよかった

一昨日と昨日紹介したアスムッセン講演から、中央銀行のコミュニケーションが如何に変わったか、ないし変わらざるを得なかったか、について述べた部分を引用してみる。 It was not always obvious that central banks and communication should be mentioned…

動く標的

昨日紹介したアスムッセンECB理事の講演で、「ただ、そうしたコメンテーターたちは自分の推奨した政策対応について責任を持つ必要がありませんが、政策当局者にはその必要がある、という違いがあります」と述べた部分があったが、その後に実際にそうしたコメ…

ECB「クルーグマンはわかっちゃいねえ」

というのは明らかに意訳し過ぎだが、ヨルグ・アスムッセンECB理事が金融政策におけるコミュニケーションの難しさについて講演した(Mostly Economics経由)。 以下はその抜粋。 In blogs and internet comments, via Twitter, on TV channels and in traditi…

HPフィルタでは潜在GDPは推計できない

Stephen Williamsonがここで紹介した名目GDP目標懐疑論の補強材料としてHPフィルタを使用したのに対し、主たる論争相手となったサムナーのみならず、Marcus Nunesがその使用法に疑義を唱えた。そのNunesの疑義にDavid Glasner、デロングやTim Duyが反応し、…

安全の罠

と題した論文をEconomic Logicが紹介している。以下はその要旨。 Fear of risk provides a rationale for protracted economic downturns. We develop a real business cycle model where investors with decreasing relative risk aversion choose between …

ソブリン危機を避ける一法

についてフィラデルフィア連銀の研究者が書いている(Economic Logic経由)。 以下はその要旨。 An important source of inefficiency in long-term debt contracts is the debt dilution problem, wherein a borrower ignores the adverse impact of new bo…

配偶者と失業期間

に関する論文をEconomic Logicが紹介している。以下はその要旨。 This paper analyzes the conditional probability of leaving unemployment of French married individuals from 1991 to 2002. We find that the effect of spousal labor income on unempl…

スター・ウォーズ/ピーチ姫の逆襲

という論文をタイラー・コーエンが紹介していた*1。 以下はその要旨。 Journals favor rejections of the null hypothesis. This selection upon results may distort the behavior of researchers. Using 50,000 tests published between 2005 and 2011 in …

バーナンキの背理法・ニューマネタリストの見方

Economist's Viewや本石町日記さんが紹介しているように、Stephen Williamsonが改めて名目GDP目標への懐疑論を表明している(以前の彼の懐疑論についてはこちらを参照)。それにサムナーが反論し、さらにそれにWilliamsonが反論したが、そのコメント欄で、い…

ヒーローになる時、それは今

昨日紹介した、マクロ経済学では実験で論争の決着を付けることができない、というノアピニオン氏の主張を受けて、氏の博士論文の指導教官であり、先々月末から「Confessions of a Supply-Side Liberal / Partisan Nonpartisan Blog(サプライサイド・リベラ…

反証可能性の無い「科学」

と題した先月末(6/29)のEconomist's Viewエントリで、Mark Thomaが3つのブログエントリを紹介している。 一つは、ブログを書いたりマスコミにコメントしたりする経済学者を見下すような態度を取る高位の経済学者への不満をぶちまけたブライアン・カプラン…

ハイエクの罠に落ちた国際決済銀行

金融政策の限界を訴えた国際決済銀行(BIS)の年次報告書を、ジョン・テイラーや池尾和人氏が称賛する一方、ライアン・アベントが詳細な批判を繰り広げている。 その中でアベントはBISのことを、ハイエク的(ないしメロン的)な清算主義、と批判しているが、…

国際化すれば日本経済も回復する

と浜田宏一氏が学士会会報の最新号に書いている。以下、該当箇所の引用。 トービン教授は、人々の資産選択活動を分析してマクロ経済学と結び付けた大きな業績があり、1981年のノーベル経済学賞を受賞しています。日本経済は、今デフレと円高にさいなまれ、先…

日本が失敗国家だった時

6/24エントリでForeign Policyでのアセモグル=ロビンソンの失敗国家に関する論説を紹介したところ、日本も失敗国家として考えるべきでは、という趣旨のコメントやはてぶを頂いた。 ちなみにForeign Policyは失敗国家ランキングを出していることで有名だが、…

コント:ポール君とグレッグ君(2012年第6弾)

昨日小生が最近「コント:ポール君とグレッグ君」のネタが無いとぼやいたのを聞きつけた訳でも無かろうが、マンキューが久し振りにクルーグマンに言及した。そして、そこでマンキューがリンクした批判に、クルーグマンが(マンキューには言及せずに)反論し…

故意のバッキン!

周知の通り、自らのマサチューセッツ州知事時代の政策を手本にしたオバマ政権の医療保険制度(オバマケア)を自分が大統領になったら撤廃する、とロムニーは宣言しているが、そのロムニーの経済顧問であるマンキューが素知らぬ顔で、オバマケアを合憲と判断…